2017年9月15日に京都情報大学院大学(KCGI)京都駅前サテライト=京都コンピュータ学院(KCG)京都駅前校=6階大ホールで挙行された2017年度春学期KCGI学位授与式で,最優秀賞に播州信用金庫(本店・兵庫県姫路市)システム部に席を置き長期研修の形で学んだ社会人学生の山中勇矢さんが選ばれ,表彰された。「会社の期待に応えたい」と勉学に励み,修了に必要な単位44単位を大幅に上回る77単位をすべて優秀な成績で取得。課程修了プロジェクトでは手塚正義教授の指導で「音声入力チャットの話題分析と業務支援サービスの研究」に取り組み最優秀プロジェクト賞を受賞したほか,このプロジェクトを9月に情報処理学会関西支部の支部大会で発表して支部大会奨励賞を受賞,IT系の上級資格であるHTML5認定試験(レベル1)に合格するなど,文句なしの最優秀賞選出だった。
山中さんは神戸学院大学 経済学部 経済学科を卒業後,播州信用金庫に就職し,システム部システム運用課に配属された。当時山中さんは「以前からITに興味があったのでやりがいはありましたが,仕事をするうえで知識や経験のなさを痛感していました」と振り返る。同信金は自前のシステム開発にこだわる業界内でも数少ない存在。預金や融資などのシステムを独自に開発しているだけに,山中さんにとっては力が十分に発揮できないことで臍(ほぞ)を噛む思いだったのかもしれない。
そんな折,転機が訪れた。同信金で,将来の高度なIT分野のプロフェッショナルとマネジメント能力がある人材を養成しようとの長期研修プランが持ち上がり,山中さんに白羽の矢が立った。「自ら進学する大学院を選んでよい」との指示を受け,山中さんはたくさんの大学院の中から「会社側の要求にマッチするカリキュラムがあるし,実務経験がある教員がそろっている。これまでの実績も十分」という点でKCGIを選択,門をくぐった。2015年10月だった。
同信金の長期研修は初めての試み。山中さんは「常に大きな責任を感じていた」という。勤務先から託されたミッションのひとつである高度なITスキルの修得に向け,入学後すぐ,講義「ウェブプログラミング」でウェブ言語を使いホームページを作成。初めての経験だったが,山中さんは「何かを一からつくる重要性を実感しました」とし「これまで職場での自分の仕事は,既存のソフトウェアを使うだけ。新しいものを生み出すには,根幹的な知識が必要。KCGIで学んだことがどう役立つかは未知数だけど,必ず役に立つ日が来ると信じて講義を大切に聴きたい」と心に誓った。
また「リーダーシップセオリー」の講義では,自らがグループのリーダーとなり祇園祭のボランティア活動に参加。「若くしてプロジェクトを引っ張るリーダーシップを身につけることも,私に課せられたミッションでしたので,実践的に学べたのは有意義でした」と振り返る。さらに「インターナショナルな学校なので,異文化交流の貴重な経験ができました。KCGIに集った国内外の学生はみな,将来のビジョンを持って勉強していたので,少しの会話からもたくさんの刺激をもらいました」と話す。
2年間,ほぼ休むことなく通学し,取得した単位は77単位。最優秀賞に選ばれ,KCGIを巣立った山中さんは,職場への復帰後,システム部システム運用課からシステム部システム開発課に異動した。同信金内の業務効率化を目的とした独自の問い合わせ管理システムの開発,タブレット端末を利用した新しいマーケティングの促進,FinTech(フィンテック)導入による新しいビジネスモデルを提案できる人材の育成,サービスの開発・提供に伴うセキュリティ対策の検討などに今後は携わる予定だ。山中さんは「無事修了できてホッとしています。まずはKCGIで得たものを活かして,これから携わる業務・プロジェクトを完遂することで,長期研修が有意義であったことを実績として示したいです」と意欲を示し「その後は,システム開発現場の一技術者としてだけではなく,ITを駆使できる技術者の立場から組織の経営に目を向けて業務に携わっていくことを目標にしています。これからも,KCGIで培った学ぶ姿勢をずっと大切にしていきたいです」と目を輝かせた。