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Accumu Vol.4

タイ・ガーナ・ポーランド 海外短期研修生を迎えて

京都コンピュータ学院情報科学研究所

東保 光彦

昨年(1991年)度,本学院は国際情報教育振興事業の一環として,ガーナおよびポーランドに,それぞれパソコン200台を寄贈した。それにともない,昨年8月にはアクラ(ガーナ)で,また,11月にはワルシャワ(ポーランド)でパソコンの講習会を開催した。そして,今年の2月に,これら現地での講習会に参加した人達,それに加えて,一昨年度の寄贈国であるタイで実際に寄贈パソコンを使って教えている人達を京都に招いて,2週問にわたり上級のコンピュータ研修会が開かれた。

海外短期研修生を迎えて
海外短期研修生を迎えて

2月1日,今年の冬一番の大雪が降った。今回の研修に参加する人達の第一陣がガーナからやって来たのは,ちょうどこの日であった。早朝から10時頃まで成田空港が閉鎖され,航空路線は大混乱。ガーナの研修生一行は,前日,ガーナの首都アクラを出発し,ロンドン,成田を経由して大阪へ来ることになっていたので,当然,この混乱に巻き込まれた。インフォメーションでは,今日中に到着するかどうかわからないという。それでも,スクールバスで大阪空港まで出迎えにいった本学院の学生・職員一同,やきもきしながら待っていると,飛行機は,結局,1時間半ほど遅れて到着した。ところが,今度は,いつまで待ってもロビーに出てこない。後でわかったことだが,一行の荷物が全部,成田空港で積み残されていたのを知らずに,それを待っていたのだそうだ。経済大国,先進工業国日本の空港も雪には弱いようだ。

くだんの荷物は,2日後にやっと届いたものの,破損したスーツケースもあった。コートやセーターをスーツケースに入れたままの人が多く,なかには半袖のシャツだけの人もいた。

宿舎に当てられた京都上賀茂の大宮インターナショナルハウスに一行が到着したのは,真夜中を過ぎていた。天候のせいとはいえ,初日からこのようでは,この先どうなるだろうと,暗澹たる気持ちになった。当のガーナ研修生はというと,長時間の旅行に疲れ,寒さにふるえていたにも拘らず,みんな案外陽気だった。

翌2日には,ポーランドから,つづいて3日にタイから,それぞれ研修生が到着したが,幸い,前日のような混乱はなかった。

同行した各国の政府関係者,通訳を含めると,このとき来日したのは,3ヵ国あわせて40人近くになる。

海外短期研修生を迎えて

2週間の研修は,新校舎が竣工したばかりの京都駅前校舎で聞かれた。研修の初日に,本学院のカリキュラムなどについて説明をしたが,日本語の説明を3人の通訳がそれぞれタイ語,英語,ポーランド語に翻訳するという形式をとったため,時問がほぽ4倍かかってしまうことになった。コンピュータの講習に入ってからは,タイとガーナの研修生のグループと,ポーランドの研修生のグループに分かれたので,ずいぶんやりやすくなった。できることなら国際会議のように同時通訳をすればよいに決まっているが,そうもいかない。ただ,なんといっても,国際交流・協力を進める上で,言葉の違いが大きい障害であることは事実なので,我々にでき得る限りのことはしたいと思った。

研修の前半には,京都駅前校舎竣工記念フェスティバルが開催されていたので,研修生は,邦楽と狂言の夕べを始め,各種コンサートを楽しんだり,コンピュータ企業の展示を見て回ったりした。また,日本アイ・ビー・エム株式会社のご厚意により同社野洲工場の先端技術を見学させていただいたり,寄贈パソコンの製造会社である株式会社東芝の方により,パソピアについての説明会を開催していただいたことも研修生にとって良い経験となった。

研修生のいるところはどこでも,さまざまな言葉が入り交じり,たいへんにぎやかであった。昼間の研修で講師をつとめた職員が,交代で大宮インターナショナルハウスに寝泊まりして,生活の世話をし,また深夜まで技術的な質問や相談を受けたりした。夕食の後,ダンスパーティになることもあった。

日曜・祝日には,スクールバスで京都,奈良,滋賀の観光ツアーをし,どのツアーにも大半の研修生か参加した。

研修は,14日に修了証書を授与して終了した。授与式の後のパーティで,各国の研修生や政府関係者から本学院にいただいた数々の感謝の言葉を,今後の活動の糧としたい。

今回の研修に,補助金を出していただいた日本万国博覧会記念協会を始め,参加各国の政府関係機関・大使館,京都大学大型計算機センター,同大学情報処理教育センター,京都市教育委員会,京都市情報処理教育センター,京都市立西京商業高等学校,京都市立北野中学校,そして,コンピュータ関連企業各社より協力していただいたことを特筆し,研修担当者の一人として,あらためて謝意を表したい。

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東保 光彦
Mitsuhiko Touho
  • 1943年京都生まれ
  • 1967年立命館大学卒業
  • 1969年同大学院修士課程修了
  • 物理専攻
  • 訳書:ヴィレンキン「無限を求めて」(現代数学社),エイブラハム,ショー「ダイナミクス」(現代数学社)

上記の肩書・経歴等はアキューム2号発刊当時のものです。