京都コンピュータ学院では1989年より海外コンピュータ教育支援活動を推進しているが,本事業の一環として,本年2月14日には,タイ・ガーナ・ポーランドに続き,第4の実施国であるケニア共和国から短期留学生が来日した。
今回来日したのは,首都ナイロビで行われた本学院主催のパソコン講習会の参加者35名から選抜された成績優秀者で,大学教授・政府外郭団体の研究所所員ら16名である。本学院で,より高度な情報処理技術を学ぶため,日本万国博覧会記念協会の交付金及び本学院によるチャリティーコンサートの収益金により来日が実現したものである。
2月14日,小雪のちらつく中,一行16名は大阪国際空港に降り立った。長旅の疲れと肌を刺すような寒さに,こわばった表情で到着ロビーに姿を現した彼らであったが,ケニア講習会で教わった学院講師達に会うや,あのいつもの陽気な表情に戻り,再会を手放しで喜んだ。学院のスクールバスに乗り,宿泊先である大宮インターナショナルハウスに着くと彼らは,隣接する学院大宮寮の学生と共に夕食を取り,旅の疲れを癒した。
講習会場となった京都駅前校には講習会のための特別な講義室が設けられ,寄贈パソコンと同機種であるパソピア7も設置された。本学院教員及び学生ボランティアの助手らによる講習会は,パソピア7の講義及び実習から始めて,16ビット,32ビットパソコンと順次高度な内容の講義・実習へと進んだ。さらに,大型コンピュータ実習やハードウェアに関する講義・実習と,連日,過密スケジュールが続いた。しかし,研修生達は疲れも見せず,常に真剣に,常に陽気にそれをこなしていた。また彼らは帰国後,コンピュータ教育を推進する指導者となることから,プログラミング教授法の研究授業も行われた。終了後の反省会では,ケニア発展の鍵とも言えるコンピュータ技術者を自分達がこれから育てていくのだという気概溢れる,熱心な討議が交わされた。
一方,週末には本学院学生による京都・奈良への史跡めぐりツアーに参加するなど,日本の伝統文化に触れ,日本に対する理解を深めた。日本は敗戦後わずか40年余りで見事に復興し,経済大国と言われるまでになった。そのことは独立30年を迎えるケニアにとって,まさしく驚きに値する事実であったが,その反面,古来から受け継がれたすばらしい伝統文化も共存していることに驚嘆の声を上げていた。
3月3日,講習会最終日には,在日ケニア共和国大使館参事キプコリール・アリ・ラナ博士をお招きしての,修了式とさよならパーティーが開かれ,学院とケニアとの友好を確かめ合った。18日間という短い滞在ではあったが,研修生達は多くのことを感じ,学び,そして我々に様々な感動を与え,日本を後にした。
本学院は今後もコンピュータを通じた”草の根国際交流”の輪を全世界に向け広げていくつもりである(1993年はジンバブエ共和国に対し実施が決定している)。