京都情報大学院大学(KCGI)の作花一志教授による「全国同時七夕講演会@KCG-2013年の天文トピックスは大彗星到来」(KCGサマーフェスタ2013天文ワークショップを兼ねる)が2013年7月5日,KCG京都駅前校大ホールで開催された。作花教授は,2013年2月にロシアに落下した大隕石や,初冬に訪れるアイソン彗星について説明し,参加した一般の方や学生に遥かなる宇宙の魅力を語りかけた。同日夜にはKCG天文同好会の学生によるワークショップも行われた。
作花教授はまず,ロシアの大隕石落下について「隕石は約17メートルの大きさだったそうですが,街が真っ白な閃光に包まれ,その後の衝撃波で現地はパニックに陥りました。実はロシアでは1908年にも約50メートルの隕石が今回より東,同じ北緯60度の無人地域のシベリアに落下しています」と説明。「もし時間がずれて,北緯60度のヨーロッパの主要都市に落下していたら,その対応に追われて第一次世界大戦は起こらなかったかもしれません」と話した。6500万年前の寒冷化を引き起こして恐竜を滅亡させたメキシコ・ユカタン半島の隕石は,直径10〜15キロメートルでマグニチュード11以上,300メートルの津波が発生したとし,日本においても▽直方隕石(861年,福岡県,最古の確認例)▽田上隕石(1885年,滋賀県,日本最大の重さ175キログラム)-などがあったと解説した。
また「2012年は天文ゴールデンイヤーと言われ,とりわけ金環日食が話題の中心でした。今年のトピックスは何と言っても彗星の到来でしょう」とし,「11月末から12月初めに,11等級という満月と同等の明るさを持つ長い尾を引いたアイソン彗星がやって来ます。日本でもその雄姿が眺められることを期待しましょう」と話した。これまでに世界各地で観測された彗星についての紹介もあった。
KCG天文同好会によるワークショップでは,七夕伝説についての説明の後,天体シミュレーションソフト「Stellarium(ステラリウム)」を使って京都でこの時期に見られる星を観測,パソコン上で輝く星に思いを馳せた。
「全国同時七夕講演会」は日本天文学会が主催し,7月7日の七夕や8月13日の伝統的七夕の日の前後の期間に,全国各地で同時に天文や宇宙関連の講演会を実施するというイベント。2013年には100以上のイベントが開催された。