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Accumu Vol.17

KCG京都駅前校への玄関口 変貌遂げる京都駅 相次ぐ商業施設整備

KCG京都駅前校への玄関口 変貌遂げる京都駅 相次ぐ商業施設整備
KCG京都駅前校への玄関口 変貌遂げる京都駅 相次ぐ商業施設整備
 

観光やビジネスなどで京都を訪れる人の受け入れ口でKCG京都駅前校の玄関口でもある京都駅が大きく様変わりしている商業施設が相次いでオープン人の行き来はなお増したようだ初代京都駅ができたのは今から130年以上前の1877年(明治10年)当時の住民は赤レンガ造洋風2階建ての洒落た建物に目を丸くしたという時は流れて1997年烏丸口側にホテルグランヴィア京都ジェイアール京都伊勢丹をコンコースの東西に配置した新京都駅ビルができて雰囲気は一変した今回の相次ぐ商業施設整備は京都駅ビル新築に続く大規模なものだKCG京都駅前校と京都駅をつなぐ動線には活気がみなぎる


近鉄みやこみち

店舗面積約3400平方メートル内に,真新しい41店舗が軒を連ねる近鉄「みやこみち」
店舗面積約3400平方メートル内に真新しい41店舗が軒を連ねる近鉄「みやこみち」
曲がり角を数箇所設け,通路に変化をもたせてある
曲がり角を数箇所設け通路に変化をもたせてある
京都の未来へ真っ直ぐ 八条口に「みやこみち」オープン
41店舗水のカーテンや透明床も

京町家の格子を思わせながらも現代風なルーバー曲がり角を随所に配した東西に伸びる一本道にはユニークな滝や水のカーテン透明床などがあり訪れた人の足を止める『「京都」を代表し未来に向けて真っ直ぐ伸びていく「道」に発展させたい』(近畿日本鉄道)という願いをこめて名付けられた商業施設「みやこみち」はKCG京都駅前校への玄関口となる近鉄京都駅高架下八条口側に2008年10月9日リニューアルオープンした

細い通路に多くの飲食店が所狭しと軒を連ねていた旧近鉄名店街がいまや懐かしい1964年の開業以来44年にわたり地元学生やサラリーマン観光客のオアシスとして駅八条口側のシンボル的役割を果たしてきた名店街も近鉄京都駅再整備のため約1年の工期と33億円余の投資により新しい姿に生まれ変わった

施設のテーマは「モダン古都スタイル」
施設のテーマは「モダン古都スタイル」

「みやこみち」の店舗面積は従来の約12倍となる約3400平方メートルこれまで飲食店や土産物店に加え物販やサービスの店舗など計41店舗がオープンした1店舗当たりの面積を拡大したため店舗数は従来の52店舗より減少している集客力と回遊性向上のため京都駅に近い施設の東側ゾーンに物販・サービスの店舗を西側ゾーンに飲食店を配したのも特徴

新たに出店したのは飲食店では「マールブランシュカフェ」や「京あんじゅ(和カフェ)」など7店舗物販・サービスの店舗では「KNTツーリスト」や「京キムチ」など5店舗ほかにウェスティン都ホテル京都のサテライトコンシェルジュが常駐するホテル案内所や金融機関(3行)のATMコーナーもある

リニューアルに当たり新施設のテーマになったのが「モダン古都スタイル」京町家の格子をモチーフにした外観デザインのほかメーン通路の床や天井のデザインはゾーンごとに変えたまた曲がり角を数箇所に設けて通路に変化をもたせたほか透明の床も登場西側の一角に文字や模様を描き出す水のカーテンには多くの人が見とれ写真に収めたりしている

飲食に息抜きにとKCGの学生や教職員も利用する機会が増えそうだ


さらに変わる近鉄 リーズナブルなホテルもお目見え
「みやこみち」は,八条口の風景をがらりと変えた
「みやこみち」は八条口の風景をがらりと変えた

近鉄京都駅の「変身」は「みやこみち」オープンだけにとどまらない近鉄が2007年3月に発表した同社のグループ経営計画京都駅ターミナル整備計画には新幹線高架橋の耐震補強工事に加え新線の増設やホテル建設なども盛り込まれている

今ある3番線線路の北側に新たに4番線を設置その上空に地上8階延べ床面積1万3000平方メートルのホテルを建設するという客室は約370室で2012年3月のオープンを目指す「新都ホテル」や「ホテルグランヴィア京都」など近隣にはホテルがひしめくが価格を1万円以下に抑え駅直結の「宿泊特化型」ホテルとして差別化を図る

奈良や伊勢名古屋方面を結ぶ同電鉄の強みを生かしながら観光客数の記録を更新し続ける京都の宿泊需要を取り込んでいく考えだ近鉄京都駅は今後さらに変貌を遂げる

スバコ

改札を抜けると「スバコ」が迎える
改札を抜けると「スバコ」が迎える
京都の玄関口の新しい顔として多くの人でにぎわう
京都の玄関口の新しい顔として多くの人でにぎわう
線路の上に洒落た空間 JR西改札口前に「スバコ」

改札に近づくと洒落た商業施設が迎えてくれる「スバコ」があるのは樹木ならぬ線路の上その名には利用客が羽を休める巣箱のような存在でありたいのと同時に「Superior Variety Concourse」すなわち上質でバラエティに富んだ広場を目指すという思いが込められているそうだ西日本旅客鉄道(JR西日本)とジェイアール西日本伊勢丹は2008年2月13日JR京都駅のメーンストリート南北自由通路の西改札口前にこの新しいエキナカ商業施設「スバコジェイアール京都伊勢丹」をオープンさせた京都の玄関口の新しい顔として多くの観光客や地元住民らが吸い込まれていく

ターゲットは「日常生活にこだわりを持つ大人の女性」23階の空間(延べ床面積約3000平方メートル)を南側北側にそれぞれ4つのゾーンに分け「食」と「美」を切り口に飲食関連や美容関連の店舗を集めた

SUVACO

2階南側の「FOOD(フード)ゾーン」には京都に関する情報を発信するカフェ&ダイナー「PORTAL CAFE(ポータルカフェ)」やテイクアウトイートインコーナーもあるベーカリーショップ「BURDIGALA EXPRESS(ブルディガラエクスプレス)」「米屋のおにぎり屋 菊太屋米穀店」スープショップ「Soup Spoon(スープスプーン)」ジェイアール京都伊勢丹直営の食料品店がある2階北側の「ZAKKA(雑貨)ゾーン」にはオーガニックコスメショプ「ロクシタン」や化粧品ファッション雑貨がそろう店舗を配置した3階南側の「RESTAURANTS(レストラン)ゾーン」は創業150年の宇治のお茶屋による和カフェ「中村藤吉京都駅店」銀座「ラベットラ」の落合務シェフが料理監修するイタリア料理店「オステリア サクラ」麺類鍋物の「はしたて」昼はカフェ夜はBAR(バル)として楽しめるスペイン料理店「フィゲラス」の4店舗3階北側の「BEAUTY(ビューティ)ゾーン」にはクイックメークやネイルケアなど「美と癒しの総合リラクセーションスペース」がある

全店舗で電子マネー「ICOCA」が利用できる3階へ上がる階段からは電車の行き来が見渡せいつも多くの人でにぎわっている

ビックカメラ

旗艦店に匹敵する規模を誇るビックカメラ
旗艦店に匹敵する規模を誇るビックカメラ
駅近くという好立地も売りのひとつ
駅近くという好立地も売りのひとつ
駅と店舗が直結

東京に本社がある家電等のチェーンストア「ビックカメラ」がJR京都駅西側にオープンしたのは「みやこみち」や「スバコ」などが整備される1年前の2007年8月だ品揃えは他を圧倒京都駅間近という利便性が高い立地条件に加え京都駅30番線ホーム改札と同店2階を直結させるという特徴もあり1~7階のフロアは連日買い物客が絶えない

関西では大阪なんば店に次ぐ2店舗目売り場面積は約8000平方メートルで商品数は旗艦店である「有楽町店」(東京)に匹敵する駅と店が直結する店舗は同店が初めてという

フロア構成は▽1階=携帯電話▽2階=テレビレコーダー▽3階=カメラオーディオ▽4階=パソコン▽5階=美容健康家電▽6階=家電製品▽7階=ゲームおもちゃ―など各売り場には商品説明や配送サポートを担当するアドバイザーが配されているほか専門相談員によるサポート体制も充実させた電子マネー「ICOCA」の利用も可能

店の出口の一つは,JRの改札口になっている
店の出口の一つはJRの改札口になっている

都市の駅前に君臨する大型店細かいサービスの面も怠りはないようだ人口150万人の京都市をはじめ近隣市町滋賀県や奈良県までも商圏に見据えている

◆   ◆   ◆

また京都駅周辺では同じく東京(新宿区)に本社を構えるヨドバシカメラも近く出店を計画している閉店した近鉄百貨店京都店(プラッツ近鉄京都敷地面積約9700平方メートル)を買い取り既に解体敷地整備を終えている同社は国内業界3位1店舗当たりの売上高なら世界一とされるビッグパワーだ具体的なオープン日時は明らかではないが新聞報道によると地上8階地下3階の店舗面積は約5万平方メートルを計画しているらしい大手家電量販店同士の激しい戦争が京都駅周辺で繰り広げられることになるかもしれない

京都駅八条口南 松下跡地

2009年秋のオープンを目指す京都駅八条口近くの大型ショッピングセンター
2009年秋のオープンを目指す京都駅八条口近くの大型ショッピングセンター
KCG近くには大型ショッピングセンター 2009年中にオープンか

商業環境激変の動きは京都駅だけにとどまってはいない駅八条口南側KCG京都駅前校から程近い京都市南区の油小路通り(国道1号)沿いに巨大な複合商業施設が建設中でカバーに覆われてオープンの日を待っている報道によるとその規模は延べ床面積が京都府内最大級の約15万2657平方メートルうち物販の店舗面積は4万5200平方メートルにおよぶという約150の専門店に加えレストラン街や複数のスクリーンを備えた映画館なども併設する計画圧倒的な集客力が予想されオープンすれば人の流れを大きく変えることは確実だ

ただオープンは遅れているようだ東京の不動産開発会社が松下電器グループの工場跡地を使い京都駅八条口の再開発地域の中核施設として着工したのは2006年12月同社は当初2008年3月のオープンを打ち出していたしかし今建設中のその建物には「2009年秋オープン」という看板が掲げられている

京都駅周辺には京都伊勢丹やアバンティ地下街ポルタが存在するほか新規開業した商業施設もありテナント確保に苦慮しているとも伝えられるこれは京都駅ビルの集客力が一層高まっていることを裏付けることにもなるといえそうだ

以前にも増して若者の姿が目立つ河原町通
以前にも増して若者の姿が目立つ河原町通
もうひとつの核河原町にも新規続々
四条烏丸にもファッションビル計画

京都市内の商業施設として「東の横綱」ともいえる河原町通(三条通―四条通間)の街並みも変化が急だ2008年4月には関西初の都市型複合集合施設で20歳代の女性をターゲットとしたファッションビル「ミーナ京都」(中京区河原町三条下ル「旧京宝ビル」跡地)がオープン若者へ強力に魅力をアピールし始めた一方四条烏丸北西角(中京区)にも2010年秋に大型ファッションビルの建設計画があり今後各エリアの顧客獲得合戦が俄然活気を帯びそうだ

「ミーナ京都」は地上10階地下1階建てで敷地面積は約2000平方メートル延べ床面積は約1万4260平方メートル京都最大規模の「ユニクロ」(5~6階の約1650平方メートル ファーストリテイリング展開)が核テナントとして構えほかにファッションをはじめレストランネイルサロンエステティックサロンフィットネスなど48店舗が出店している

このうちアメリカやヨーロッパで話題のシューズやバッグを扱うコンセプトショップ「Sole Town(ソールタウン)」が国内で初の出店アクセサリーショップ「VERITAS(ヴェリタス)」は関西で初出店チョコレート関連の「ゴディバ」は京都初だ目標は年間来店者400万人年間売上高50億円先行オープンした「ミーナ天神」(福岡市2005年)「ミーナ津田沼」(千葉県習志野市2007年)も好調とされるスペイン語で「宝の山」を意味するこの施設は京都の商業に大きな影響を与えるかもしれない

河原町通では2007年8月に米国カジュアル衣料の「ギャップ」同十月には女性向けファッションブランド品や書店カフェなどを集めた「コトクロス阪急河原町」がオープンしている

一方海外の有名ブランドの店舗が軒を連ねる四条烏丸の北西角に計画されているファッションビルは地上7階地下1階延べ床面積約1万7000平方メートルでうち4フロア(売り場面積3150平方メートル)にファッションや雑貨インテリア化粧品販売など40店舗や飲食店が入る予定東京の不動産開発会社が建設する

このように京都駅だけでなく河原町通四条烏丸に開業ラッシュの傾向が見られるほか市西部も大型ショッピングセンターが開店したのをはじめ地下鉄東西線延伸に合わせた開発が進むなど市内商業には大きな変革期が訪れているようだ商業のみならず魅力ある京都づくりに向けた取り組みが急になっている