昨今のパーソナルコンピュータの市場は停滞していて,私どもも対策会議を開くなど,苦しい思いをしています。今までが良過ぎたので,高度成長から安定成長に移ったという表現をしていますが,実質的には,成長が止まってしまったという状況です。パソコンの市場を育てる時に,今の核にいろいろ機能を加えて大きくしていくという考え方もありますが,最近のマーケティング市場を開拓するためには,新しいプロダクト・アイデンティティといいますか,新製品のカテゴリーを作り出すのが最も効果的です。日本の場合は,社会情勢も経済状態も,過去の伝統を引きずって,その上に成り立っていくのが得意ですが,アメリカはジェネレーションを変えてしまうのが得意です。パソコンを見ても,最初は(1970年代),コモドールペットとか,TANDYの80とか,アップルⅡという市場がありましたが,1981年にIBM・PCが発表されると途端に世代交替を起こしました。そして,IBM・PCが世界で8000万台以上売れたという,IBM・PCとその互換機市場が成立しました。それから約10年,今は経済情勢が苦しいこともあって,アメリカは新しいアイデンティティを持った市場を育てたいと躍起になっています。これはベンチャー・キャピタルも投資していますから,ぜひそうしたいという勢いがわかります。そのカテゴリーの一つが「ペン・インタフェース・コンピュータ」(あるいは「ペン・ベース・コンピュータ」),簡単にいうと「ペン・コンピュータ」(以下ペンPC)と呼んでいる市場です。ここでは,このペンPCの市場についてお話ししたいと思います。
まず,アメリカにおけるポータブル・パーソナルコンピュータ・マーケットの,いろんな種類のポータブル・コンピュータの比率をみてみましよう。傾向としてとらえると,1990年では約75%が,ラップトップ・コンピュータです。年とともに,それがだんだん減って,ノートブック・コンピュータがやや増えてきて,それからサブノートブックが1992年から現れてきます。これらの分類は,ラップトップが7ポンド~11ポンド,ノートブックが7ポンド以下(東芝のダイナブックの最新の機種は2.5~2.8kgで,ノートブックの範囲です)。またラップトップはACで,ノートブックはバッテリーで動くのが要件,サブノートブックは確か3ポンド以下,形が小さいので見ただけでわかると思います。
1996年には,ペンPCで約30%のシェアが占められるだろうと言われています。アメリカの場合は,ラップトップやノートブックのコンピュータをオフィス内で使うことももちろんありますけれど,ほとんどは,運ぶ,車で持って行く。ですから,これらの市場は,外で働く人,あるいは外に行く人の市場です。ペンPCが絶対数でどのくらいあるかという予想をしてみますと,1991年には3万台,1992年,10万台,1995年に85万台になるとアメリカでは言われています。日本の場合は,1991年が1000~2000ぐらいの間だと思います。ペンPCにはキーボードがないわけですが,実は私は1986年に,東芝の情報技術研究所でこれを見せてもらった時に,「何に使えるか,遊びじゃないか」と言った覚えがあります。その時はポータブル・コンピュータが順調に売れている時期でもあって,ちょっと冷やかな目で見たことを覚えております。その後,いろいろ資料を見たり世の中の情勢を見たりして考えていたわけですが,今ではこの予想どおり,あるいはもっと大きい市場ではないかと考えています。
ペンPCでどのようなビジネスができるかというと,次のような分類になると思います。これはアメリカの「ペン・コンピューティング・コンファレンス」の案内から出展メーカーを見て分類した結果です。
まず,ペンPC自体を開発・販売するビジネスがあります。ペンPCは,見た方もいるだろうと思いますが,ダイナブックのキーボードを取ってパッドといいますが,一枚の板のようなものにペンがついているものです。このメーカーで最も古いのはGRIDという会社で,1989年の11月には製品を発表しています。
次に,応用ソフトウェアを開発・販売するビジネスがあります。応用ソフトウェアの市場はバーティカル市場,ホリゾンタル市場の二つに区分できます。バーティカル市場とは,特定の職業に結びついたアプリケーションの市場です。例えば,衛生商品のプロクター・ギャンブルやジョンソン&ジョンソンのセールスマンは,スーパーマーケットに直接行って在庫を調べ,どのくらい仕入れるかをコンピュータで出して,ストアーマネージャーに「今月はこれくらい注文してください」というセールスをします。このような場合,アメリカでは東芝のT-200などのポータブル・コンピュータを使っていますが,彼らは当然立って仕事をしますので,キーボードでは具合が悪い。ペンPCだと立っていても操作が容易で,彼らには都合が良い。ですからこのような市場ができあがってくるわけです。また保険の外交のような仕事で申込書などを記入する時に,ペンで伝票を書くように入力したり,家庭のガス器具の点検時に,レポートを作ったり,統計をとったりするのにも使用されます。このように,特定の職業に結びついたものをバーティカルマーケットと呼んでいます。それに対して,ホリゾンタル市場は,特定の職業に結びつかない,いろんなニーズに合わせたマーケットで,電子手帳,表計算,電子メール,電子ブックなどがあります。また,応用ソフトウェアの開発を支援するビジネスもあります。応用ソフトウェアをC言語などでそのまま作るのも良いですが,非常に高くつく話ですので,比較的簡単に作れるようなアプリケーション開発キットを開発して販売するわけです。例えば,SLATE CORPORATIONという会社があって,Pen Appsという名前のアプリケーション開発キットを売っていますが,これを使うと,一つの帳票を使うようなアプリケーションが,二,三日でできるそうです。
三番目に,当然ペンPCにはペン独特のオペレーティングシステムがあるわけで,それを扱ったビジネスです。話題になっているのは,マイクロソフト社のウィンドウズフォーペンです。マイクロソフトウィンドウズにペンのインタフェースを付けたOSです。もう一つは,GO CORPOLATION社のPENPOINTです。
四つ目のビジネスは,いろいろなものを作る人に要素技術を売る商売です。どんなものかといいますと,一つは,手書き文字認識のソフトウェアの開発・販売です。CICという会社が開発し,発売しています。また,それを買って,自分のシステムに組み入れて売るという会社もあります。それから,ペンを検出するためのディジタイザーというハードウェアの開発・販売。また,これはペンPC独特ではなくパソコンにも共通ですが,ワイヤレス通信,あるいは無線LANという技術の開発・販売があります。これらのビジネスがペンPC関係であるといえます。
さて,ではなぜ,ペンPCがそのような商売に使われるのでしようか。ペンのニーズということを考えてみました。
一つは,立ったり,動いたり,歩いて働いている人です。看護婦さんや,先に触れたセールスマン,ガス会社の方,おまわりさんなどがそうだと思います。それらの方は,キーボードは使えないわけですが,ペンだと腕に抱えて操作することができます。例えば,おまわりさんが,パトロールカーに積んでいて,現場に行って,現場の住所を書いて手書き確認するというようなことも考えられるわけですけど,このような時,その現場の郵便番号を選んで,頭文字のカナを「ア」ならアと入れる。するとアという文字で始まる町名が出てくるので選択することもできます。数字は,何番地というのは,認識がかなり完璧ですので入力してもかまいませんし,あるいは,ポップアップ・ニューメリックパド(テンキー)が画面に出てきて,それをぼんぼんぽんとペンで指していっても,かなり早くできます。そういうわけで,立っている人がこういうものを使えると思います。看護婦さんも,入院患者の脈拍や血圧を書いても良いのですが,アメリカでは,特に訴訟の問題があって,患者さんに処置したことは,詳しく記録しなくてはいけません。例えば,心臓発作のコードブルーというオペレーションがありますが,必ず4人くらいのチームになって,一人は記録ばかりやっています。そのような人が使うということがあります。それから,不動産の鑑定や保険の査定も,理論的にはあり得ることです。また自動車修理の場合,見積りをする時に,自動車のモデルを出し,フェンダーがどのくらい壊れているということを入力すると,自動的にフェンダーの部品の値段が足し算され,もちろんマージンも足されて「修理代は30万円です」というようなプログラムも,将来使われると思います。
二つ目は,フェイスツーフェイス コミュニケーションです。保険の外交,あるいはプレハブ住宅のセールスなどは,現在キーボードで行うことも可能になっています。しかし,保険の外交の方が,「あなたの年令がいくつで家庭がどうだ」,「いくらの保険にするのか」などを聞きながらキーボードをたたくと,その途端に互いのコミュニケーションが途絶えるわけです。これはコンピュータの宿命ともいえますが,このような場では,ペンPCを使って,一緒に「どれですか,これにしましょう」などとやった方が,コミュニケーションがいいわけです。
三つ目は,アテンションといいますか,注意力をフォーカスする場合です。例えば,辞書や本や資料を見て,コンピュータに数字を入れ,表計算で何か資料を作るというのは,しばしば行うことですが,非常に神経を使います。そういう場合に,三つも四つもある参照物やコンピュータの画面,そしてキーボードがあると,視線があちこちに移らなければならず,非常にやりにくい。このような場合,画面だけに注視してペンで編集していく。すると資料を見るにしても,今まで四つに分散していた注意力が二つになる。
それから,書いたり,ノートをとったり,すでにある資料に,注意書を入れたりする市場。これが,先に述べたホリゾンタル市場なのですが,電子手帳やファックス,電子メールなどに使います。この手書きで加えたデータのことを,この業界では,「インク」と呼んでいます。これは,書いたものを,後で確認してアスキーコード化する,それをコンパクションして縮めるなど,いろんな操作が,後に起こり得ることを前提としています。今までのデータ形式であるテキストやグラフィックス・イメージ,アニメーション,ビデオ,音に加えて,インクという新しい形式のデータが加わったわけですが,これを用いた市場。電子手帳は,現在でも日本の市場であるわけですが,より本格的なものにしていきます。何千年も歴史のある紙と置きかえるわけです。値段も重要な要素ですが,「おれはこの手帳でいいんだ」という人に売り込むわけですから,相当の機能を入れないといけないと思います。例えば日付ごとのメモ帳を使うと,ある日,非常に忙しくて,たくさん書きたいと思っても,その日のページがすぐにいっぱいになって,次のページや後の余白ページに書く,といったことになり,非常に不便なことがあります。ペン・インタフェースの電子手帳を使うと,これらがあまり不便ではなくなります。コンピュータは,実際にある物理的なメモリーをページングして,ハードディスクに仮想的な大きさとして拡大することができますが,電子手帳も同じように,ページ,例えば2月の8日というページをフルに書いてもまだ書くことがあったら,「コンプレスしてくれ」という指示をすればいいわけです。そうするとコンプレスされて,ページの一部にウィンドウでいうアイコン化されて出ます。そうするとスペースが開くのでまたここに書ける。このアイコンされたものは,別のメモに入っていますが,そのページ(アイコン)を見たい時には,アイコンを指して拡大を指示してやれば可能です。それからファックスも,まず手書きし,紙には出さないでそのまま送るとか,逆に,パソコンが受信したファックスをペン・コンピュータにダウンロードして,新幹線に乗ってる時などに読んで返信を手書きで書く。それを送信するという操作をするわけです。それから電子メール。通信手段も非常に変化しました。電話だけだったのが,テレックス,ファックス,最近は,電子メール。ほとんどの東芝の社員はパソコンを持っていまして,通信は電子メールです。これは海外でもできます。非常に便利で,新たな通信文化を作っています。電子メールは便利ですが,一つだけ退化したことがあります。電子メールはすべて文字です。書面の時は図を書いたのが,全部文字で表している。ペンを使ってやりますと,電子メールを昔に戻して,図も書けるようになります。それから電子会議。ポータブルコンピュータを出した頃,東芝では会議室にコンピュータを持ってくるのが流行りました。今でも持ってきて,かちゃかちゃやる人がいますが,それを気にする人には迷惑な話です。ペンだと気にならない。それから,大人数の会議で,「今月の売上げはこうだ」などと報告する時に,各々にペンPCをつないで,例えばロータス・ワン・ツー・スリーを使って,説明する人が自分のところで,「この数字は…」と書くと,会議に参加している人のところにも,数字の上にマークが現れ,通信ができるというアプリケーションもあります。
以上が,ペン・コンピュータがどのように使われるかという分析です。いずれにしても,開発をする時にはこのような分析をして,開発の正当化を行うわけですが,実際には,売れてみないと,どういうアプリケーションがあるのかがわからないのです。特に,思いがけないアプリケーションで,爆発的に広がるというようなこともありますので,実際にはいろいろ変化があるかと思います。
次に,ペン・インタフェース・コンピュータを,どのように実現するかを二つほど説明します。
まず,非常に簡単なやり方で,皆さんもちょっと努力すればできるという実現方法です。ダイナブックの上にタブレットを乗せ,タブレットのXYドライバーを作って,ペンで指したらXY座標が検出できるようにするということで実現できます。その場合ドライバーの他に,いろんな処理,ペンで画面を示したら何をするかというのは,MS-DOSのTSRというプログラムでよいわけです。例えば日本語のFEPは,ユーザーがキーボードに入れたものを漢字に変換するという常駐プログラムですが,ペンも同じで,ペンのXY座標を見て,このXがいくつからいくつで,Yがいくつからいくつだったらこれが3ということをプログラムで組んで,3という数字をプログラムに渡せばいいわけです。これはマウスと非常に似ていますが,ハードとして決定的に違うのは,大部分のタブレットはXYの座標が出ていくわけです。実際は,640~480とかいうディスプレイの座標と追って,もっと緻密な座標が出るわけですが,マウスは現在の位置に対する増分,デルタX・デルタYがいくわけです。マイクロソフトでは,DX・DYのことを「ミッキー」と呼んでいますが,コーディング段階で,ミッキーを非常に高速に使ったものは,ペンではXY,つまり現在の位置X1Y1に対して,X0Y0を引き算しないとミッキーが出ません。それだけ演算時間がかかるので,マウスを完全にエミュレートできるかというと,そうではない場合もあります。それから,マウスの場合はボタンがありますので,ペンでその左ボタン,右ボタンをどのように実現するか,二回クリックでしたらどうだろうか,そんな違いもあります。東芝も大分前からやっていまして,実際に現在納入しているような,お客様に使っていただくようなシステムはこのように作っております。この特徴は,MS-DOSコンピュータですから,メモリーが小さく,FDD構成でも動くのでリソースが少なくてすむ。つまり,安くできるということです。それから,既存の応用ソフトに適応ができる。もちろん,ペンのところはできませんが,例えば保険計算のアルゴリズムはそのまま使えるわけです。ただし,問題はメモリー制約がありますので,非常に凝ったインタフェースは,凝れば凝るほど大変で,ウィンドウズなどはできないということ,それからMS-DOSがマルチタスキングではありませんので,プロセッサタイムを特定のアプリケーションに優先的に割り当てることができないわけです。いってみれば,アプリケーションが,自らそのCPUの割り当てを放棄するということを期待しているわけです。つまり,通信プログラムは緊急で,早くアプリケーションのプロセッサの時間をくれないと,受けたデータを失ってしまうわけです。それに対して表計算は時間があるわけで,それがCPUタイムを通信プログラムにあげるということを仮定しています。これは仮定でして,現実には必ずそのように動くとは限りません。そんな性格ですので,バーティカルマーケットが主な用途です。この世界はペンではなくても,すでに存在していて,いわゆるハンドヘルドターミナル…小さいキーボードが付いていて,現場でデータを集めるためのものです。アメリカでは500万台,日本では200万台くらいの使用かと思いますが,それを置きかえる市場です。あくまでも,PCの延長線で使われるだろう,つまり,新しいアイデンティティというよりはPCの副産物として出す,というものです。
次は,ペンポイントについて説明します。これは本格版で,OSを初めからペン・インタフェースのために設計したものです。これはもともと,32ビットのフラットアドレススペースを80386とか,RISCプロセッサーとか,大きなメモリーを仮定して作ったものです。先に述べたマルチタスキングも含まれています。それから,ペンポイントは,当然,オブジェクト指向で作られています。オブジェクト指向というのは,ユーザーにとっては,特にメリットはないのですが,ソフトウェアを作る,ソフトウェアを部品化する技術であります。今までなぜソフトウェアが部品として通用しなかったかということを謙虚に反省して,部品化する技術を使っています。オブジェクトの言葉を使っていいますと,ペンポイントというのは,250クラス,1500メッセージくらいのOSであるといわれています。それからノートブックユーザーインタフェース。これは「ノートブックメタフォ」といい,あたかもノートのように,ユーザーインタフェースができています。ウィンドウズやマッキントッシュでは,必ず左上の方にファイルという文字が出て,ファイルのところにポインタを置いてクリックすると,そのファイルのメニューだとかプルダウンメニューが出てくる。新しいインタフェースは,そのようなものではなくて,本と同じように目次が現れてこの目次の中のある項目にペンを当てて,ポンと打つと,そのページが現れる,ファイルが開かれるという感じになっています。それから,ノートの右側にある見出しのようにそのタブをペンでこすると,あたかもノートを開くようにそのページが現れるなど,現実の手帳に合わせたインタフェースが使われています。それから「ジェスチャーコマンド」といって,書く操作によっていろいろなコマンドを表す。マウスでは操作を加える場所を指定してデリートキーを押すなど,二つの操作になるわけですが,ジェスチャーコマンドは,そのオペランドとオペレーター,操作と何をして欲しいかを一度にできるわけです。ペンでサークルしてポンとやると,それをピックアップすることになる。ページを開く,スクロールするなどをペンの動作で示すことを「ジェスチャーコマンド」といいます。それから,ハイパーリンクといって,あるアプリケーションの結果を取り入れること,単にデータだけではなく,入れたデータが生きているわけです。スタティックなデータじゃなくて,ライブアプリケーション・リンケージといいますか,別のアプリケーションの結果が生きていて,そこに何かをするとこっちのアプリケーションが動いて内容を変えるといった機能です。それから,スケーラビリティ。ノートもいろいろな大きさがありますが,大きさにかかわらず,いろんな文字が出る,というスケーラビリティがあります。また,外で使うためのレジューム機能,それからワイヤレス。赤外線のランが前方についていれば,そこに置いただけで通信できるというような機能も必要だと思います。そしてメモリー構成。外出時に必ずしもハードディスクのバックアップがあるとは限りませんので,S-RAMを使ったり,フラッシュメモリーを使ったり,いろんなことが可能なようにOSが作られていなければならない。もちろん,電池操作時間が長いようにOSを作ります。つまり,いらない時はCPUをオフ,スリープモードするなど,いろいろな形で電気を節約して,操作時間を減らすようにします。
最後にペン・インタフェースについて,東芝がどういうことを今までしてきたかということを説明します。
1986年から,まずハードウェアを開発しました。当然,研究所ではまず認識,合成などチャレンジングなことを行います。手書き認識,カナ漢字変換,これらは,書いたものを認識する技術ですが,漢字全部を認識させるというのも実用的ではありませんし,全部カナで認識させて,カナ漢字変換させるというのも芸がない。しかし漢字混カナを認識させれば,つまらない変換候補がいっぱい出ることを防げるということで,これを認識させて変換するという研究を行いました。それからグループコミュニケーション。ハードウェアを作ってそれをLANでつないで,お互いに電子メールのやりとりをしたり,会議室の予約をしたり,スケジュールを合わせたりというようなこともやっています。それから米国メーカーなどの会社と緊密に交流しまして,情報を交換しています。同時に注文もいくつかありました。いわゆる専用システムというのを作ったわけですが,バーティカルシステムということで,証券会社のディーリングルームの電子メッセージのシステムとか,クレジット会社のアプリケーション,そういったものをおさめています。最後に,本命であるペンPCを開発しているのですが,この辺になると歯切れが悪くて,あまり説明できないのですが,来年にはかなりの環境がそろうということです。これは東芝だけではなくて,いろいろなメーカーがこういうことで努力しているものと思っています。
(京都コンピュータ学院京都駅前校舎竣工記念フェスティバルより)