1998年11月18日,創立35周年記念式典にあわせ,ケニア・スリランカ・マラウイの3国に対する,学院所蔵パソコンの寄贈式が行われた。
ケニア共和国に対しては,すでに1992年,またスリランカ民主社会主義共和国に対しては,1996年に,それぞれ第一次支援として,パソコン寄贈と,それぞれの国において学院教職員によるパソコン講習会が成功裡に実施された。両国にとっては今回のパソコン寄贈は,第二次支援となる。
これに対し,マラウイ共和国には,今回が第一次の海外コンピュータ教育支援活動となった。アフリカ東南部,マラウイ湖の西岸に位置する同国は,1953年にザンビア・ローデシアとともに中央アフリカ連邦を形成したが,連邦を解体して1964年に独立した,農業を主産業とする新興国である。本学院では,国際協力事業団(JICA)を通じて,マラウイ共和国からの研修生を受け入れたことがあり,学院で学んだ研修生が現在マラウイで活躍している。このようにマラウイと学院の交流は開始されていたが,今回本格的にコンピュータ教育支援活動を行うこととなった。パソコンの寄贈先は,マラウイ教育省である。
パソコン寄贈式には,それぞれの国を代表してケニア共和国大使,アーサー・C・クラークセンター副所長(スリランカ),マラウイ共和国臨時代理大使が,参列された。また今回の支援活動においては,同志社国際中学校・高等学校が,支援に加わり,寄贈式には,同校の坂田直三校長も参列された。学生・教職員・報道関係者の多くが見守る中,テープカットが行われ,寄贈パソコン計450台は,参列者の拍手に見送られながら,それぞれの国へと旅立っていった。
ケニアと京都コンピュータ学院の関係はKIRDI(ケニア工業開発研究所)が京都コンピュータ学院とつながりを持った1991年にさかのぼります。これは1992年に京都コンピュータ学院から200台のコンピュータ寄贈へと発展しました。京都コンピュータ学院による海外コンピュータ教育支援活動実施の最初のステップとなったこの寄贈は,指導員教育,各地へのコンピュータ配布,コンピュータ受取校教員教育,そしてコンピュータセンターのセットアップと続きました。
現在進行中の第二事業,ケニア教育省への140台のコンピュータ寄贈は,2020年までに新工業国をめざす,我が国次世紀の課題に対応できる学生の教育と育成へと進んでいくでしょう。自国家の目標達成につながるこの寄贈は,私たちにとって非常に重要であるといえます。
この点において,二つの親善国,国民間のさらなる協力につながるであろう第二回寄贈事業に参加していただける同志社国際中・高校校長にも心から感謝の意を表したいと思います
世の中には3種類の人がいます。物事が起こるのを見ている人,起こっている出来事について話す人,そして物事を起こす人です。京都コンピュータ学院の人々は,この3番目の「物事を起こす人」であることは明白でしょう。私は,京都コンピュータ学院の理念を知ってからというもの,長谷川靖子学院長のビジョンと先見の明に深く感銘を受けてきました。長谷川学院長の素晴らしさ,そしてこのイニシアチブの理念の壮大さは,IDCE(海外コンピュータ教育支援活動)を通じたコンピュータ・リテラシーの開発が,地理的に非常に離れた場所にいる幾千もの若者達の心へ届き,また彼らを鼓舞するということです。
ここにお集まりの皆様の多くには,マラウイの青年達が,初めて自分でコンピュータを立ち上げるときの,ワクワクした目の輝きを見ていただくことができません。
今から20年もすれば,世界のマイクロソフトもマラウイの名前を持つでしょう。そしてその起源をたどると,それは地下のコンピュータビジネスではなくて,本日ここに始まった学院のIDCE活動のイニシアチブにゆきつく,ということになるのです。
1991年,京都コンピュータ学院からガーナ共和国へ200台のコンピュータが贈られた当時,ガーナの高等学校におけるコンピュータ・リテラシー教育はゼロに等しいものでした。
今日では,コンピュータ教育は全土に広がり,私立のコンピュータ教育機関も現われています。教育省は,高校生がコンピュータを使える科学教育センターを,全国に110個所設置するに至りました。「国立科学コンピュータセンター」のビルも,このほど首都アクラに完成し,オープニングの準備が進んでいます。
京都コンピュータ学院のIDCEプログラムのおかげで,私たちはガーナ全土の高等学校における,コンピュータ教育プログラムを実現するシステムを創ることができたのです。
続いて1996年の150台のコンピュータ寄贈も非常に有り難いものでした。私たちはソフトを英語版に変えて,再び,その寄贈コンピュータを高等学校に配布しました。KCGからの寄贈は,ガーナの高等学校におけるコンピュータ教育のスタートとなったのです。私たちは,わが国の教育システムに対する,何年にもわたる貴学院の貢献をとても感謝しております。
本日,私は京都コンピュータ学院創立35周年にあたり,衷心よりお祝いを申し上げます。貴学院がますます発展されますように,そして貴学院とガーナ共和国がその友好をますます深めることができますように,願ってやみません。