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Accumu Vol.21

.kyoto

京都の地域特性を踏まえ京都ブランドや京都の存在感を国内外にアピールし,府民の一体感の醸成を促進することを目的にした地理的名称トップレベルドメイン「.kyoto」(ドット京都)の新設導入,管理,登録受付などを担当する「管理運営事業者(レジストリ)」に,京都府情報産業協会の会員団体で,京都コンピュータ学院グループの学校法人 京都情報学園 京都情報大学院大学(KCGI)が2012年3月1日,京都府の審査により唯一,選ばれた。これを受けKCGIは現在,ドメイン名を全世界的に一元管理する米国のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)に,管理運営事業者「レジストリ」として申請中だ。早ければ2013年内に運用が開始される。ICANNには世界各国からトップレベルドメイン管理運営事業者の申請が出されているが,教育機関が地理的名称トップレベルドメインのレジストリを申請したのは世界で唯一。

申請に向け,京都府認可の一般社団法人 京都府情報産業協会は,2010年より「ドット京都運営委員会(委員長:北川貞大 カゴヤ・ジャパン株式会社 代表取締役社長)」を設置して検討してきた。その結果,同協会会員団体の中で▽公益性・信頼性が高い▽文部科学省認可の大学設置学校法人である▽米国連邦政府認証高等教育機関として「.edu」ドメインを有している▽ICT(情報通信技術)の専門性が高いーなどの点で,KCGIが申請主体として最も適切であると判断した。同志社大学ほか近隣の大学,一般社団法人 全国地域情報産業団体連合会(ANIA)など多くの団体から支持を受けている。これを受け,KCGIでは諸準備を進め,2012年2月10日に京都府に申請届を提出した。

京都府をはじめとする公法人や地元企業・教育機関などが「.kyoto」を広く活用することで,京都全体の国際的な知名度・ブランド力の向上につながり,社会・経済活動の活性化が期待される。KCGIは管理運営事業者として,「.kyoto」の活用を産官学合同の「公益事業」と位置付け,適正な管理運営を進めることはもちろん,「.kyoto」を取得している公的機関・公益法人だけが登録・情報発信が可能なポータル・コミュニティサイトの構築や,産官学・法人同士のコラボレーションの促進,観光・映画やアニメ等コンテンツ産業への貢献に向けた各種関係事業などを関係公的機関と共に積極的に進めていく計画である。合わせて,サーバの構築やドメイン販売・管理といった運営体制の確立,具体的なイベントの企画なども進めていく。

2012年9月29日からは,KCGI 京都駅前サテライトで,京都府内の全学生(大学生,大学院生,専門学校生)を対象にした「.kyoto」に関する研究ゼミナールを開講。京都の名称を冠する世界唯一のトップレベルドメインを活用し,新しいビジネスを創造していくことが主なテーマで,1月26日までの計5回にわたって講義を設定,大勢の学生が参加し,「.kyoto」の未来と可能性を探った。

地理的名称トップレベルドメインとは

ドメインの本来の意義

インターネット上のトップレベルドメインは,本来は,対象となる団体が所属している地域やその団体の種類を示すものとして設計された。その当初からの指針に基づいて,アメリカ国内では連邦政府所管の公法人,公益法人などの各種団体は,それぞれ特有のトップレベルドメインを有しており,サーバ群も独立している。例えば,「.gov」は米国政府関係機関であり,「.mil」は軍関係,「.edu」は米国連邦政府認証の大学等教育機関。民間の自由な経済活動のためには「.com」が付与され,それは特に国籍を問われることもなく,世界中で自由に利活用されている。インターネットの世界的普及に伴い,昨今では,ドメイン本来の趣旨が薄れてきたばかりではなく,雲散霧消しつつある。ドメインは,コンテンツの発行元を示す極めて重要な意味を持っており,これは印刷された書籍における出版社と著者を示すものと同等。そして,一般ユーザにとっては,サイバー空間における自らの位置を表すもので,閲覧者には常に「自分がどこにいるか」を意識しておくことが求められる。(ドメインコンシャス)。偽サイト(フィッシングやファーミング)や危険なサイトを閲覧して被害を受ける例があまりにも多いのは,ドメインが持つ意味について一般ユーザがあまりにも無頓着であり過ぎるからでもある。

トップレベルドメイン(TLD)の概要

インターネットのアドレスを構成するドメイン名(記号)のうち,「.com」「.jp」など,最上位のものを「トップレベルドメイン(TLD)」という。TLDには,一般用TLD(gTLD)と,国名や領地名を表す国別TLD(ccTLD)の二種類がある。現在,gTLDは,「.com」「.net」など,計22種類があり,ccTLDは,「.jp」(日本),「.us」(米国),「.hk」(香港)など,計255種類ある。全世界のTLDは,民間非営利団体のICANNが全体を統括管理している。

地名TLDの概要

gTLDの一種として,都市名やその略称(「.paris」「.nyc」),地域名(「.quebec」)など,「地理的名称トップレベルドメイン(地名TLD)」が認められる予定。アルファベットに加えて,漢字,タイ文字やアラビア文字など,多くの言語の文字が利用可能となる。国際標準に認定されている国名,首都名や都道府県名のローマ字名を使用した地名TLDの申請者は,当該の政府または公的機関(自治体など)から「賛成」ないし「反対しない」と明記した文書を取得し,申請時にICANN宛に提出することが義務づけられている。KCGIは京都府から唯一の支持を得て,ICANNに申請した。

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