「守りもいやがる 盆からさきにゃ
雪もちらつくし 子も泣くし
盆が来たとて なにうれしかろ
かたびらはなし 帯はなし
この子よう泣く 守りをばいじる
守りもいちにち やせるやら
はよも行きたや この在所越えて
向こうにみえるは 親のうち」
これは,京都・竹田の民謡「竹田の子守歌」の歌詞であり,1969年にフォークソンググループ・赤い鳥がレコーディングを行い全国的に有名になった。私もギターを弾きながらよく歌った大好きな歌である。
竹田という地名は歌に縁があるようだ。昨年秋に奈良市実年(50歳以上)ソフトボールチームのメンバーとして大分県竹田市を訪れた。竹田市は九州の小京都と呼ばれるほどに歴史のある,そして風光明媚な町である。南東部に位置する「岡城」は珍しい山城で,1185年(文治元年)に緒方三郎惟栄が源義経を迎えるために築城したと伝承される古城である。江戸時代には岡藩七万石城下町の象徴だったようだ。そして明治の初めに廃城になり今は本丸の石垣が残るだけであるが,その急な石垣の上からの眺めは素晴らしい。この岡城は滝廉太郎作曲の「荒城の月」のモチーフになったことでも有名である。
このように歴史と文化が溢れている竹田市で開催された第13回全日本実年ソフトボール大会では,奈良県予選で優勝した奈良市のDeersが2年前の北海道大会に続き出場した。
前回の北海道大会の1回戦は,途中までリードしていながら逆転での敗戦だったので,今年はなんとか1勝をと挑んだ相手は茨城県の住友金属鹿島実年ソフトボール部。見たところピッチャーの球は速くないし,野手の体格も我々よりずっと貧相で,全員が今年は勝てそうだと思った。ところが全日本大会で未勝利のプレッシャーか,相手チームのピッチャーの緩い球をなかなかバットの芯で捕らえることができない。一方,相手チームは我がチームの左右の好投手の球に食らい付き,野手の間に転がる緩いゴロとポテンヒットなどで2点を先行してしまう。それに対し我がチームは全員で3本のヒットしか打てない。6番DHの私は調子が良く,レフト前のハーフライナーのヒットとセンター返しのタイムリー・クリーンヒットと2本を放ち,1人で気を吐いたのだが,後のバッターの攻撃が続かず,2対1で負けてしまった。
今年こそは1勝をと大分県まで乗り込んだのだが1回戦での敗退。しかし,早く負けてしまった故に,ゆっくり観光ができ,これはこれで良かったのだろう。
先の岡城の本丸に登り,澄んだ空気と爽やかな風の中で竹田ののどかな田畑や丘の眺めをゆっくり楽しんだ。竹田からはレンタルしたマイクロバスを使い,雄大な阿蘇山周りを抜け熊本までゆっくり観光をしながらのドライブである。
落ち着いた山間の温泉として人気のある黒川温泉にある温泉宿「山みず木」の露天の外湯につかり,ソフトボールでの疲れを癒した。この温泉は黒川に面しており,川の流れの中に身をゆだねている感じがし,顔には木立を抜けてくる涼しい風を感じながら,時間の経過も忘れ本当に心身ともにリフレッシュできた。
ドライブの最後は熊本空港の手前の町でうまい馬刺しを出す焼肉屋に立ち寄る。初めての馬刺しであったが,良く冷やされ,口に入れるととろけるような舌触りで,非常においしく感じた。また,阿蘇山で採れる石を加工した石板の上での焼肉も美味でビールを飲み過ぎる。
今年もそろそろ全日本実年ソフトボール大会の予選が始まる。今年の全国大会の会場である埼玉県での1勝を目指し,しっかりと練習を行いたい。
上記の肩書・経歴等はアキューム14号発刊当時のものです。