健全なユビキタス社会の実現のためには,情報セキュリティの確保が必須です。この重要な課題に取り組むため,京都情報大学院大学では,韓国電子通信研究院(ETRI)と共催で,日本・韓国・ベトナムの情報セキュリティ関連の政府機関・研究機関・大学・企業の参加のもと,「ユビキタス社会での情報セキュリティ技術活用」というテーマで日韓越3カ国共同セミナーを開催しました。今回のセミナーでは,一般の方向けのシンポジウムや講演会も開催されました。その模様をアキューム誌上で再現し,ユビキタス社会に生きる私たちにとって,身近な問題である情報セキュリティの現在について,報告します。
京都情報大学院大学(KCGI)では,2004年11月に情報セキュリティ分野で韓国No.1の実績を有する高麗大学校情報保護大学院と学術交流協定を締結しました。この協定に基づき,交流の一環として,KCGIと高麗大学校情報保護大学院との共催により,2005年8月24日,25日に,韓国済州島にて「日韓共同セミナー『日韓におけるユビキタス社会でのICT Application活用について―情報セキュリティを中心に―』」を開催しました。
このセミナー開催を機に,KCGIは韓国電子通信研究院(ETRI:Electronics and Telecommunications Research Institute)と,ユビキタス情報セキュリティ分野における共同研究及び開発を行う目的で,学術交流提携を結びました。
ETRIは,1976年創設の韓国最大の政府系情報通信研究機関であり,現在は,韓国科学技術省(Ministry of Science and Technology)に所属し,セキュリティ技術をはじめ,情報通信に関する広範な研究開発を手掛けています。
今回,ETRIと本学との共催により,京都で開催されたセミナーは,昨年の「日韓共同セミナー」を継承発展させたものです。また今回は,アジア地域における情報セキュリティ分野の発展を期するため,日韓両国に加えて,ベトナムの企業や大学にも参加いただきました。ベトナムは,現在,世界のソフトウェア開発において,特に注目されている国であり,そのベトナム最大手のソフトウェア会社FPT社と本学は,2005年に事業提携を結んでいます。
情報セキュリティの確保は,ユビキタス社会の基盤であり,健全なユビキタス社会の実現のためには,情報セキュリティに関する研究開発の促進は必須といえます。日韓越の3カ国共同による,こうしたセミナーは初めての試みであり,その開催は,今後のアジア地域における健全なユビキタス社会の実現にとって大きな意義があるでしょう。
■期間:
2006年10月16日(月)~10月19日(木)
■主催:
京都情報大学院大学(KCGI: The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics)
韓国電子通信研究院(ETRI: Electronics and Telecommunications Research Institute)
■参加団体:
日本/株式会社NTTデータ経営研究所,財団法人ハイパーネットワーク社会研究所,マイクロソフト株式会社,松下電器産業株式会社,株式会社三菱総合研究所
韓国/韓国情報保護振興院(KISA),高麗大学校,LG CNS Co., Ltd.
ベトナム/FPT株式会社,ベトナム国立大学
米国/コロンビア大学,ロチェスター工科大学
■会場:
京都コンピュータ学院京都駅前校
■分野:
情報セキュリティ(ネットワーク, PKI, RFID, 暗号, プライバシー保護等)
KISA(韓国情報保護振興院) Kyoung Sik Min 氏
マイクロソフト株式会社 渡辺 清 氏
コロンビア大学 Moti Yung 教授
京都情報大学院大学 内藤 昭三 教授
■日本:
ハイパーネットワーク社会研究所 青木 栄二 氏
NTTデータ経営研究所 三笠 武則 氏
三菱総合研究所 村瀬 一郎 氏
松下電器産業 齋藤 孝弘 氏
京都情報大学院大学 高 弘昇 教授
京都情報大学院大学 内藤 昭三 教授
■韓国:
ETRI(韓国電子通信研究院) Kyo Il Chung 氏
ETRI( 〃 ) Ho Won Kim 氏
ETRI( 〃 ) Suk Jun Lee 氏
高麗大学校情報保護大学院 Jong In Lim 院長
高麗大学校 Dong Hoon Lee 教授
LG CNS So Jin Wook 氏
■ベトナム:
FPT社(FPT Software Japan) Bui Hong Lien 氏
FPT社( 〃 ) Quach Lieu Hoan 氏
FPT社( 〃 ) Tran Dang Hoa 氏
FPT社( 〃 ) Phan Van Hoa 氏