日本最初のコンピュータ教育機関で,創立以来45年以上の永きにわたって教育・実習・研究で使用してきた過去のコンピュータ等を保存している京都コンピュータ学院(KCG)で,日本で初めてとなる「コンピュータ博物館」実現の動きが加速している。現在,過去の機器を保存している「KCG資料館」は2009年,社団法人・情報処理学会から「分散コンピュータ博物館」の全国第一号認定を受けた。コンピュータ技術の急速な進化に伴い,情報処理機器の変遷も急だ。KCGでは10数年前から,次世代に継承すべき重要な意義を持つ技術や製品の保存と活用を図る必要があると認識し,博物館建設構想を温めてきた。情報処理学会の認定制度新設により関係者の期待も高まった今は,実現に向けて大きな一歩を踏み出す時だ。
「分散コンピュータ博物館」の認定証授与式は3月2日,国立科学博物館日本館講堂(東京都台東区)で行われ,KCG博物館は同学会から「1963年創立当初からの,教育に使用したコンピュータ,汎用コンピュータ,ミニコンピュータ,オフィスコンピュータ,パーソナルコンピュータ,周辺装置を多数保存しており,国内屈指の貴重なコレクションである」と高い評価を受けた。同時に,同資料館で保存している「OKITAC-4300C システム」と「TOSBAC 3400」が「情報処理技術遺産」の「認定機器」とされた。
「情報処理技術遺産」として認定を受けた「TOSBAC 3400」は,日本で最初のマイクロプログラム制御計算機・KTパイロットをベースに開発された。この「TOSBAC 3400」は,前KCG情報学研究所長で,日本最初のIT専門職大学院・京都情報大学院大学(KCGI)の初代学長を務めた萩原宏博士が,京都大学工学部教授時代にKTパイロットの基本設計やソフトウェア開発などを担当,現在の株式会社 東芝とともに開発したという本学にとって縁の深い汎用計算機。
次世代に継承すべき重要な意義を持つ技術や製品の保存と活用を図ることは急務だ。KCGでは,過去45年余の教育において活躍してきたこれら貴重なコンピュータを,多くの方々に見ていただく機会となる「コンピュータ博物館」を実現させるため,多くの方々の理解と協力を求めていく。