Accumu 記念行事

スーパーコンピュータ「京」10ぺタフロップスへの挑戦

富士通株式会社 次世代テクニカルコンピューティング開発本部 本部長
追永 勇次氏

2013年5月10日

スーパーコンピュータ「京」の開発について熱い思いを語る追永氏

富士通株式会社次世代テクニカルコンピューティング開発本部本部長の追永勇次氏による講演会「スーパーコンピュータ『京』10ペタフロップスへの挑戦」が2013年5月10日，KCG京都駅前校大ホールで行われた。追永氏は演算性能で2011年に「世界一」を達成した独立行政法人理化学研究所と富士通の共同開発による「京（けい）」に関する技術的な話などを披露，訪れた一般の方々や学生たちは，夢を実現することの素晴らしさについて感じ取るのと同時に，スーパーコンピュータが今後あらゆる面で活用されていくことを期待した様子だった。

講演では，スーパーコンピュータの歴史を振り返った後，2011年11月に世界で初めてLINPACK性能10ペタフロップスを達成したスーパーコンピュータ「京」の開発の歩みが紹介された。

追永氏は「京」について「性能だけでなく，実用性を重視して開発してきた道のりは決して平坦なものではなく，多くの課題を克服してきました」と強調。「京」の活用が期待される戦略分野として▽予測する生命科学・医療および創薬基盤▽新物質・エネルギー創成▽防災・減災に資する地球変動予測▽次世代ものづくり▽物質と宇宙の起源と構造の解明――の5分野を挙げ，富士通としても「心臓シミュレータ」「磁界シミュレータ」「津波シミュレータ」の部門で，専門家と共同開発していることを紹介した。

また，「京」は2012年現在，演算性能が世界3位にランクされたとし，今後は低消費電力化を重視しながら，最新テクノロジーを追求した半導体，最先端メモリ，光テクノロジーの採用などを進め，エクサスケール（1秒間に100京〈10の18乗〉回の演算を超えるパフォーマンスを実現する能力）という高い目標に挑んでいきたいと話した。

民主党政権時代の事業仕分けでスーパーコンピュータの開発について「（世界で）2位じゃダメなんでしょうか」と指摘されたことにも触れ，「技術の世界で『2番を目指す』などということはあり得ない。2番というのは，トップを狙いながらも敗れた結果，そうなるもの。技術者は，常に1番になることを追い続けなければならない」と強調した。

＊「京」は理化学研究所の登録商標です。

＊スーパーコンピュータ「京」は，独立行政法人理化学研究所と富士通株式会社の共同開発です。