京都府警察本部 生活安全部・性犯罪対策プロジェクト班から性犯罪防止につながるスマートフォンアプリ開発の依頼を受けた京都コンピュータ学院(KCG)は,2015年5月に学系・学科を超えた6人の学生によるプロジェクトチーム「Mobile Police」を立ち上げ,ITを駆使しながら準備を進めてきた。そして11月16日,国立京都国際会館で開かれた「子どもと女性を守るシンポジウム〜調査研究に基づく新たな犯罪抑止対策」の席上,学生たちはこれまでの取り組みを紹介しながら,開発したアプリを発表,関係者の方々から高い評価をいただいた。
メンバーは,情報工学科4回生の足立嵩さんをリーダーに,情報科学科4回生の大藏瞬哉さん,ゲーム学科4回生の早田真侑子さん,コンピュータ工学科3回生の中嶋勇斗さん,メディア情報学科2回生の鈴木駿也さん,アート・デザイン学科2回生の菅谷美波さん(学年は当時)。
学生たちが開発したのは,
いずれも企画から開発まで,KCGの教職員や京都府警担当者による意見を聴きながら,すべて学生たちが担当,授業後や休日を利用し,6人がプログラミング,デザインといったそれぞれの得意分野の力を出し合いながら,コツコツと開発してきた自信作。
11月16日には「新たな風を 私たちにできること,私たちだからこそできること〜情報通信技術を活用した新たな情報発信への挑戦」と銘打ち,それぞれのアプリを,開発を主担当した学生がデモンストレーションを交えて発表した。企画のもとになったのは「被害に遭う不安や性犯罪についての情報不足を感じながらも,具体的にどんな対策をとってよいのか分からない」という声が大半を占めた,京都府警による性犯罪意識調査の結果。プロジェクトチームの学生たちは「スマートフォンという身近なツールで,防犯に役立つアプリを提供できることが分かりました。今後も私たちのITの知識と環境を活かして,性犯罪の抑止に少しでも貢献できるよう努めていきます」と発表を締めくくり,会場から大きな拍手をいただいた。
アプリ開発とシンポジウムでの発表活動とが評価されて,メンバーは12月11日,京都府警から表彰されるという栄誉にも恵まれた。表彰式には4人のメンバーが出席し,生活安全部長の山根弘行警視正から感謝状を受けとった。リーダーの足立さんは,「KCGに入学した時には,プログラミングの知識は何もなかったので,表彰していただけるレベルにまで上達したことに,自分でも驚いている」と話した。半年かけて取り組んできた開発作業の努力が報われ,達成感と充実感が得られた瞬間だった。
Mobile Policeでの活動は,メンバー全員にとって貴重な経験となった。今回のアプリ開発を通して,プログラミング技能を向上させただけでなく,学内・学外でさまざまな体験をすることで,人間的にも成長することができた。KCGでは府警と連携してMobile Policeの活動を継続し,学生主導のITによる社会貢献を今後も推進していく意向だ。