京都コンピュータ学院グループに新しい関連企業が誕生した。株式会社ケーシージーキャリア(2001年8月1日に設立)。人材派遣事業を主たる業務とする株式会社である。失業や倒産という文字を見ない日がない現在,たよりになるのは,自らのキャリアとスキルである。しかし,それらを上手く活かして,最適な職場を求めることは,なかなか困難である。その意味で,本学院の校友にとり,母校の関連会社であるKCGキャリアの誕生は,朗報といえる。そこで今回は,登録者と派遣先企業のマッチングという重大な役割を担う,同社のコーディネータの皆さんにお話を伺った。
―KCGキャリアの主な業務はどのようなものでしょうか。
山口 KCGキャリアが手がけているのは「一般労働者派遣事業」です。派遣によって働くことを希望する人に登録してもらい,その登録者の中から,企業の条件にあった人を派遣するという業務です。
―人材「登録」するためには,何か資格や制限はありますか。
久保 特に制限はありません。卒業生・在学生の希望者は,いつでも登録できます。また一般の方でも登録は可能です。
―人材「登録」はどんな方にお勧めですか。
森 キャリア・アップを図りたい方にお勧めですね。派遣は契約期間ごとに違う職場を経験できるメリットがあり,キャリア・アップを図れます。
―人材派遣の考え方は,企業サイドでは理解されていますか。
久保 はい。代替のきかない分野では新卒者を,代替が効く分野や専門的な分野では派遣社員を,といった形で使い分けている企業が多いですね。
山口 多くの企業では,新卒者を研修で育てる余裕がなくなっているようです。そのため選択の余地なく,派遣社員受け入れや中途採用で人員をまかなうしかないといえます。
―登録者の希望と派遣先の希望とをぴったり合わせるのは難しくはないですか。
久保 ええ,難しいです(笑)。でもそこが私たちコーディネータの腕の見せ所です。マッチング作業を,慎重に行うようにしています。
山口 従来の派遣会社の場合,企業が求める人材に関する情報を得る営業と,人材と接するコーディネータとが分離していて,肝心な職場の雰囲気や,仕事内容などが,コーディネータに正確に伝わりにくく,トラブルの原因になっています。KCGキャリアの場合は,私たちコーディネータが,企業にも足を運びますし,登録者の方とも面談を繰り返しています。
森 雇う側の理想と派遣される側の理想を,うまく結びつけることが出来たときは,うれしいですね。
―人材派遣の形態は,長期間,一つの職場で働きたい方には,不向きではないですか。
山口 必ずしもそうではありません。現在,注目される動きとしては,紹介予定型派遣制度(テンプ・ツー・パーム)があります。これは,一定期間派遣社員という形で雇い入れ,その後,双方が継続を希望する場合には正社員として採用するというものです。予め,長期間の雇用関係を結ぶことを念頭におきながら,派遣されるというものです。
森 企業は,この人材が本当に必要であるかを派遣期間中にじっくり吟味できますし,派遣された人も,その会社でやりたいことができるのかどうかを考えることができます。
―KCGキャリアが得意とする分野はありますか。
森 得意分野は当然IT関連です。KCGグループの一員の派遣会社ですから。
山口 そうですね,派遣先の企業も,学院卒業生の関連の会社が多いですから,自然とIT関連企業が多くなります。
久保 京都という土地柄もあります。京都には,驚くほどIT関連企業があります。南の方へ行くと,いたるところでコンピュータ関連企業を見かけますよ。
―雇用情勢などで何か変化を感じることはありますか。
森 やはり雇用面で厳しい業種が増えていますね。人材派遣という言葉を出すと,「自分のクビもどうなるかわからないのに」と真顔で言われたこともありました。
久保 ただIT関連の業種,SEやプログラマなどの職種では人材不足が著しいです。「良い人材がいるなら,明日からでも来てもらいたい」と言われることが多いです。
―やはりコンピュータ関連のスキルを持っていた方が有利ですね。
森 ええ,一般事務の場合でも,パソコンの操作が当然のように要求されますからね。コンピュータ関連の技術や資格は,あればあるほど,有利になると言えます。
久保 KCGキャリアの場合は,KCGグループの一員ですので,登録者はIT関連の基礎力を養成する研修を受講できます。コンピュータ初心者の方でも,尻ごみしないで,ぜひ登録してください。
―学院の学生にメッセージをいただけませんか。
久保 社会で活躍するには,専門技術が必要なのは勿論ですが,チームで仕事をする能力も重要です。コミュニケーションを図る能力,ミスを隠したりしない誠実さなどが求められますね。
山口 そうですね,アピールする力,表現力は重要ですね。これを伸ばすためには,コミュニケーションの機会を増やすのが一番です。今までは話そうとも思わなかった人とも,話をすることが有益だと思います。
―最後に皆さんの今後の抱負についてお聞かせください。
森 「KCGキャリアに登録すればいい仕事がすぐ見つかる」と言われるようになりたいですね。
久保 私の場合は,登録者との信頼関係を大切にしたいですね。私たちコーディネータの仕事は,登録者の皆さんの人生をトータルにサポートする側面がありますからね。
山口 KCGは,卒業生同士のつながりが特に強い学校ですが,私たちは,そのネットワークをより強化するお手伝いをしたいですね。
久保 KCGの卒業生のパワーは物凄いです。訪問した先々で,学院の卒業生に会います。「コンピュータ業界で石を投げれば学院卒業生に当たる」という名言がありますが(笑),まさに言い得て妙と感じますね。そうした卒業生の方々が,知り合いに頼るような感覚で,KCGキャリアを利用していただけるようになりたいですね。