1963年,京都大学近くの小さな私塾において,京都大学大学院,宇宙物理学専攻の若手学者によるFORTRAN研究会が発足し,「電子計算機プログラミング講習会」を開始しました。京都コンピュータ学院の始まりです。講習会には,京都大学を始めとする,諸大学,諸企業の新進気鋭の研究者たちが,最先端の科学技術を求めて集まりました。年を追って講習会参加者は増え,教育機関としての体裁も整ってゆき,1969年には京都コンピュータ学院として全日制課程を設置するに至りました。爾来,星霜を重ねて,本年は創立40周年を迎えます。
この間,輩出した卒業生は36000人以上,世界十数カ国の発展途上国政府との合弁事業として,相手国において実施した情報教育の受講者を加えると,40000人を超える校友が,世界各地でコンピュータ技術者として活躍しております。一方で,米国ロチェスター工科大学と姉妹校提携の下,わが国初の専修学校と米国大学院との合弁プログラムを開始するなど,コンピュータ技術教育機関として本学院は一歩一歩着実に発展を遂げてまいりました。
40年前,科学計算の道具として,特定の研究者の利用に限定されていたコンピュータは,当時,学院創立者・初代学院長 長谷川繁雄が確信していたとおり,今や万人に不可欠なコミュニケーションの道具となりました。長引く不況の現今にあっても,IT革命は緩やかに見えながらも,着実に進んでおります。
京都コンピュータ学院は,創立40周年を機に,あらためて「コンピュータを万人の手に」という創立者の志に思いを致し,来るべきユビキタス社会の実現に向けて,世界各国の姉妹大学と結んだより強靭なネットワークの上で,教育体制の一新を計り,創立以来,40年間継承されてきたパイオニア精神のもと,未来に立ち向かう所存でございます。
この40年の間に,皆様がたより頂戴しましたご厚情に深謝しますとともに,今後とも変わらぬご支援とご高配を賜りたく,学院教職員一同,衷心よりお願い申しあげます。
上記の肩書・経歴等はアキューム22-23号発刊当時のものです。