2013年11月1日,京都情報大学院大学(KCGI)創立10周年記念式が,グループ校の京都コンピュータ学院(KCG)京都駅前校6階ホールで盛大に催された。KCGの伝統と実績を受け継ぎ,2004年に日本最初のIT専門職大学院として開学したKCGIは,従来型の研究大学院とは一線を画し,実学・職業人教育を推し進めてきた。この節目の年をさらなる飛躍の第一歩として,各界の期待に応えられるよう,在学生,修了生,教職員一同,新しい地平を目指してよりいっそう発展していくことを誓った。合わせて,KCGグループが長年取り組んでいる海外コンピュータ教育支援活動(IDCE)の一環として,マラウイ共和国へのコンピュータ贈呈式も行われ,駐日大使館関係者に目録が手渡された。
創立10周年記念式では,はじめに長谷川亘統括理事長が,10年前のKCGI開学に向けた取り組みや,創立後の歩みをたどった後,本学が管理運営事業主体となって次年度から運用が始まる地理的名称トップレベルドメイン「.kyoto」など,これからのKCGIの展望について語った。茨木俊秀学長は,IT(ICT)の急速な発展に触れながら,今後はICTと異分野を結びつけ,新しいビジネスモデルを生み出すことのできるような人材が必要であると強調。KCGIが今後も,このような新しい人材を生み出す拠点であり続けることを確認した。続いて,駐日マラウイ共和国大使館のローズマリー・カンユカ次席公使が祝辞を述べた。
また,下村博文文部科学大臣,茂木敏充経済産業大臣,米国コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジのスーザン・ファーマン学長らから届いた祝電・祝詞が披露された
KCGIは,専門職大学院制度の施行(2003年4月)を受け,KCG創立40周年記念式典を開催した2003年11月1日に開学を宣言した。翌2004年1月には文部科学省からIT専門職大学院として第一号で設置認可を得,同年4月に1期生を迎えた。KCGIでは,開学を宣言した11月1日を創立記念日と定めている。KCGIは創立以来,IT応用分野のトップリーダーとなり得る人材の育成に邁進し,修了生は,CIO(最高情報統括責任者)をはじめプロジェクトマネージャー,システム統合コンサルタント,システムアーキテクトなどとして,アジア全域に巣立っている。国内外からの注目はますます高まり,2012年10月発刊の『週刊東洋経済』では,特集の「本当に強い大学〜私立大財務力ランキング」において「成長度」の分野で全国619の私立大学のトップにランキングされた。2012年度より入学定員を開学当初の2倍に増やし,また,2012年4月に札幌,10月には東京にサテライトキャンパスを開設するなど,なおも成長・拡大を続けている。
コンピュータ贈呈式では,KCGグループ側からIDCEについて,駐日マラウイ共和国大使館側から同国について紹介。コンピュータ寄贈の準備に携わった学生ボランティアを代表し,KCGI学生の張暁琳さんが清掃・梱包作業の様子を報告した。続いて,これまで中心となってIDCEを進めてきたKCGの長谷川靖子学院長がカンユカ次席公使に,デスクトップパソコン50台の寄贈を記した目録を手渡し,握手を交わした。
マラウイ共和国へのコンピュータ寄贈は,1998年のデスクトップおよびノートパソコン222台,2009年のデスクトップパソコン15台に続く第3次支援となる。カンユカ次席公使は「マラウイ共和国ではコンピュータ不足が深刻で,IT教育が十分に進められないという課題があります。寄贈を受けることで,IT教育の進展が期待されることはもちろん,若者がインターネットを通して世界中の出来事を知ることができるようになります。KCGにあらためて感謝するとともに,今後も協力関係を続けていけることを望んでいます」と話した。
1989年にKCGグループが開始した,発展途上国のコンピュータ教育を支援するプロジェクト。学院で使用したパソコンを途上国に寄贈し,これを利用して,途上国のコンピュータ・リテラシー教育の開発・浸透を現地教育省・科学技術省との協力において図ろうとするボランタリー活動で,パソコンの寄贈に合わせ,研修生の受け入れ,専門家の派遣などを続けている。現在までに寄贈したパソコンは3000台以上。対象国はタイ,ガーナ,ポーランド,ケニア,ジンバブエ,ペルー,マラウイ,サウジアラビア,メキシコ,スリランカ,中国,ブルネイ,ナイジェリア,ミャンマー,モンゴル,タンザニア,モザンビーク,ウガンダ,キルギス,ボスニア・ヘルツェゴビナ,エリトリア,パプアニューギニア,ニジェールの計23ヵ国に及ぶ。2006年には,それらの活動が評価され,国連の専門機関の一つである財団法人日本ITU協会(ITU:国際電気通信連合)から長谷川靖子学院長が「国際協力特別賞」を受賞した。