現在,教育制度は激変の時代を迎えています。
10年前の常識は通用しなくなっているといえます。
時代の変化に敏感にならないと,進路選択を誤る可能性もあります。
高度専門士は,専修学校における教育内容の高度化と修業年限の長期化を踏まえ,一定の基準を満たした4年制の専修学校の修了者に付与される新しい称号です。文部科学大臣が認めた専修学校の4年課程を修了した者に,2006年(平成18年)の春から高度専門士の称号が付与されています。
「高度専門士」制度の施行に併せて,「高度専門士」の付与される課程の修了者が国家公務員として採用される場合,初任給は4年制大学卒業者と同じ基準になりました。この変化は産業界全般にも波及しつつあります。つまり4年制大学卒業者と専修学校の4年課程卒業者の給与格差は無くなります。
「高度専門士」の要件を満たす専修学校の4年課程卒業者には,大学院への入学資格が当然に付与されます。これまで専修学校卒業者が大学院に進学する場合には,事前に各大学院が実施する入学資格審査を受け,この審査をパスすることが必要でした。
また国家試験や各種資格試験などでも,大卒と同等の科目免除などの扱いを受けるようになっています。
1994年に2年以上の専修学校専門課程を対象として「専門士」という制度ができました。現在では信じがたいことですが,それ以前は,専修学校は短大よりも下に見られていました。当時は,企業によっては専修学校卒には高卒の給与体系を適用するというところも多くあったのです。現在では,専修学校専門士に,短大と同等の給与を出さないような企業はありません。そして,短大は凋落し,その学校数も減少してきました。
同様のことは,高度専門士が大卒と同等になるという,今回の制度改革の結果として生ずるものと考えられます。すなわち,社会的に「短大である」というだけでは意味をなさなくなったという歴史の事実と同様に,「大学である」ということだけでは,何ら意味をなさなくなっていくのは明らかです。そして,高度専門士と大卒の学士と,どちらが上かというような議論も,社会的に無くなっていくに違いありません。