海外コンピュータ教育支援のボランタリー活動「IDCE」を進める京都コンピュータ学院(KCG)は,中央アジアのキルギス,東欧のボスニア・ヘルツェゴビナ,アフリカ北東部のエリトリアの3カ国にパソコン寄贈と教育支援を中心とする文化交流を展開することになり2007年4月20日,京都駅前校に3カ国の特命全権大使を招き,調印式をした。1989年から続けているIDCEの対象国はこれで20カ国となり,京都コンピュータ学院発の地球規模における教育の輪は,さらに拡大する。
この日の調印式には長谷川靖子学院長と,アスカル・アサンベコヴィチ・クタノフ氏(キルギス),ボリボイ・マロエビッチ氏(ボスニア・ヘルツェゴビナ),エスティファノス・アフォルキ・ハイレ氏(エリトリア)の各特命全権大使と,ボスニア,エリトリア両国へパソコンを寄贈する橋渡し役となったイピル・イピルの会の伊藤登志子代表らが出席。長谷川学院長と各特命全権大使がそれぞれ調印書にサインした。
長谷川学院長は,特に首都など都市部と,地方におけるコンピュータ教育の格差が問題になっていることを指摘したうえで「国力を上げるにはインターネットの活用が必須条件といえる。民族や文化の違いはあってもコンピュータ教育は共通で,国の発展のためにはすそ野を広げていかねばならない」と強調。「今回の寄贈を機に各国と“親族関係”となって教育交流を進め,実りをもたらせたい。キルギスにおいてはシルクロードをコンピュータロードといわれるくらいに発展を期待する。独立して間もないエリトリアでは国づくりに,紛争が続いたボスニア・ヘルツェゴビナでは復興の一助になることを願う」と述べた。
キルギスにはこの日までに,すでに50台の使用済みパソコンが贈られ,地方の小学校での活用が始まっている。アスカル特命全権大使は「我が国では地方と中央とのコネクション整備が課題。パソコンを使う子どもたちは幸せな表情をしている。心から感謝したい」と話した。
ボスニア・ヘルツェゴビナでは45台が地方のテクニカルスクール教育で生かされる。ボリボイ特命全権大使は「IT教育はまだこれからだが,交流開始がよきスタート地点になる」と述べた。
エリトリアでは国境紛争後に除隊となった兵士の社会復帰のための職業訓練として,30台が使われる。エスティファノス特命全権大使は「国づくりに向けKCGをはじめとする日本や世界の教育機関と関係を強化し,科学・テクノロジー部門の発展を図りたい」と話した。
1989年,KCG内に生まれ,現在継続実施中の海外コンピュータ教育支援のプロジェクト。学院の中古パソコンを途上国に寄贈し,これを利用して,途上国のコンピュータ・リテラシー教育の開発・浸透を現地教育省・科学技術省との協力において図ろうとするボランタリー活動。現在まで寄贈パソコン台数は約3000台。支援対象国はタイ,ガーナ,ポーランド,ケニア,ジンバブエ,ペルー,スリランカ,中国,ブルネイ,マラウイ,ナイジェリア,モンゴル,これに技術指導のみの4カ国を含め,今回の支援を加えて合わせて20カ国に及んでいる。
中央アジアに位置する。北はカザフスタン,南はタジキスタン,西にウズベキスタン,東に中国と国境を接する。首都はビシュケク(Bishkek)。公用語はキルギス語とロシア語。人口は2006年7月の統計で,521万3898人。国土面積は19万8500k㎡で日本の約半分ほど。ソ連から1991年8月31日(独立記念日)に独立。主な産業は食品加工,織物,家具,小型機械など。主な農業はベリー類などの果実,くるみなどの木の実,羊毛,綿花,タバコ,ジャガイモを始めとする野菜など。通貨単位はソム(som)。
東欧に位置し面積は約5.1万k㎡,人口約438万人(1991年調査),首都はサラエボ。ボスニア語,セルビア語,クロアチア語が言語。旧ユーゴ連邦を構成した共和国の一つで,民族構成はムスリム系44%,セルビア系33%,クロアチア系17%だった。旧ユーゴ連邦の崩壊が進む中,1992年4月,独立をめぐって民族間で紛争が勃発し,3年半以上にわたり各民族が国全土で覇権を争って戦闘を繰り広げた。主要産業は木材業,鉱業など。通貨は米ドル。
アフリカ北東部に位置し,1993年にエチオピアから独立したばかりの最も新しい独立国。独立後,エチオピアとの間で国境紛争が生じ,1998年から2000年まで戦争が行われていた。面積は約12万k㎡,人口は約360万人。首都はアスマラ。主要言語は英語,アラビア語,ティグリニャ語。主な産業は食品加工,革製品,ガラス加工など。通貨単位はナクファ(Nakfa)。