産学が連携して次代を担うIT(情報技術)人材を育成しようと,京都コンピュータ学院(KCG)と京都情報大学院大学(KCGI)はそれぞれ2017年2月15日,大手ITサービス企業の日本ユニシス株式会社(本社:東京都江東区,平岡昭良社長,東証1部上場)の総合技術研究所(羽田昭裕所長)と学術・研究の協力関係産学連携に関する協定書を締結した。両者が共同で「未来環境ラボ」を学内に開設し,未来のIT業界を担う学生たちは柔軟な発想・創造力を駆使しながら,IT企業の研究員とのさまざまな研究・学術の共同作業を重ねていく。
この日,KCG京都駅前校新館・KCGI京都駅前サテライト(京都市南区西九条寺ノ前町10-5)で締結式があり,日本ユニシスの羽田所長は「業種,業態を超えてイノベーションの必要性が高まっていますが,企業単体で取り組むには限界があります。私どもは日本に初めてコンピュータを持ち込んだ会社。日本で初めてコンピュータ教育を始めた学校と手を取り合い,IT人材の育成など新しい活動ができることを楽しみにしています」,長谷川亘KCG統括理事長は「日本ユニシス様とは40年来のお付き合い。他で見られる産学連携は学校が企業からの研究員を受け入れるだけといった建前的なものがほとんどでしたが,今回の提携では米国のように,クリエイティブを生み出す機会となるよう期待しています」とあいさつ。KCGの長谷川晶理事長も加わり,協定書にサインして交換し握手を交わした。協定書には連携事業として ▽教員・学生と研究者の交流 ▽共同研究および研究会の実施 ▽学術上の情報,刊行物および資料の交換 ▽その他両当事者の合意に基づく活動-を盛り込んだ。
この日開設した「未来環境ラボ」は,日本ユニシスの研究員が定期的に駐在し,学生とともに特別講座や共同プロジェクトなどを企画・実施するなど交流を続ける。その活動の輪をゆくゆくは地域全体に広げ,ITのさらなる発展,地域の活性化につなげられるような活動を進めていく計画。
KCGは日本ユニシスにゆかりのある大型汎用計算機UNIVAC1100 TSSシステムを1979年に日本で初めて学生実習用に導入して24時間開放した。その後も,UNISYSの最新の超大型汎用機を利用した学生たちは,社会に出て日本のIT社会の発展に寄与している。
日本ユニシスは,クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス,コンピュータシステムやネットワークシステムの販売・賃貸,ソフトウェアの開発・販売および各種システムサービスなどを手掛ける大手IT企業。国内有数のシステムインテグレータとして,金融,製造,流通,公共などの幅広い分野の顧客に対してICTによるソリューションを提供してきた。技術面でも,ERP,CRM,SCM,AI,オフィスコミュニケーション,企業向け教育など,ウェブビジネス技術と密接に関連する課題に対して強みを持っている。また,同社の総合技術研究所も,データの解析と管理,現物融合(Mixed Reality),コモンセンスを持つ知的エージェントなど,先進的なテーマを掲げて研究を続け,これらは今後,フィンテック(金融IT)を含む次世代産業や新しいコミュニケーションシステムの構築において,応用が期待される技術といえる。
1958年に創立。金融,製造,流通,エネルギー,社会公共などの幅広い分野で日本のITを支え続けてきたシステムインテグレーター。経験と実績をバックボーンに,社会課題に向き合い,顧客やパートナーとビジネスエコシステムを形成し,未来の姿に先んじた新しい価値創造に取り組んでいる。同社の総合技術研究所は,「アイディアをすぐカタチに」をモットーに,スピード感のあるR&Dの実現を目指している。アートとサイエンスの融合による新しい価値の模索として,これまで,ゲノムコホート研究などライフサイエンス領域の研究や,メディアアート作品へのAI適用などを行っている。