KCGグループ創立50周年を記念した「中澤きみ子 ヴァイオリン・リサイタル 〜千の音色に思いを寄せて〜」が2013年1月19日,KCG京都駅前校コンサートホールで開かれた。中澤さんは,夫のヴァイオリン・ドクター 中澤宗幸さんと東日本大震災の津波でがれきとなった流木から製作したヴァイオリンを使用し,ピアノの碓井俊樹さんと共に曲を奏でた。演奏にはKCGグループ創立50周年のお祝いと,被災地に対する「震災の記憶を伝え,復興を目指す人たちの希望になれば」との思いが込められ,音楽会に訪れた多くの一般の方々や学生たちに,感動のひとときをプレゼントしてくれた。
今回のリサイタルを前にした1月17日,皇后さまがこのヴァイオリンによるコンサートを鑑賞されたことが報道されている。
リサイタルでは,ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」やシューベルトの「アヴェ・マリア」,サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」などが演奏された後,中澤さんが「東日本大震災で被災された方が一日でも早く普通の生活を取り戻し,このヴァイオリンの音色を聴いてもらえたら」と思いを語り,アンコールに山田耕筰「からたちの花」を選んで音色を響かせた。演奏に先立ち,中澤宗幸さんも被災地の復興に向けた願いと熱い思いを語った。
中澤きみ子さんは国際的に活躍するヴァイオリニストで,ウィーンやベルリンなどヨーロッパ各地で演奏活動を続け,高い評価を受けている。また,演奏活動のかたわら,国内外における国際ヴァイオリンコンクールの審査員や,国際音楽祭の講師として招聘されている。現在,尚美学園大学および同大学院客員教授を務める。
碓井さんは,カントゥ国際音楽コンクール優勝,ヴィオッティ国際音楽コンクール特別賞,オランダ・ミュージック・セッション ドネムス演奏賞など,数多くの受賞歴があり,世界各国での演奏会をはじめ国際音楽祭への出演や,国際音楽コンクールの審査員を務めるなど,精力的に活動を展開している。
左:がれきとなった流木から製作したヴァイオリンを披露する中澤きみ子さん。裏板には東日本大震災による津波に耐え,被災地の人たちの支えとなってきた陸前高田市の「奇跡の一本松」が描かれている。
右:被災地の復興に向けた願いと熱い思いを語る,ヴァイオリン・ドクターの中澤宗幸さん。