歴史的なコンピュータを多数所蔵し,一般社団法人情報処理学会から「分散コンピュータ博物館」の第一号認定を受けている「KCG資料館」を,コンピュータ設計・開発を手掛けるJBCC株式会社の元社員の方々が訪問した。同資料館に所蔵されている東芝製TOSBAC-1100,TOSBAC-1200 の開発者グループ。
〈京都駅前校 KCG資料館〉
KCG資料館で保存・展示しているシャープ製のパーソナルコンピュータ「MZ-80K」が,一般社団法人情報処理学会から「情報処理技術遺産」の認定機器に選ばれ,同学会の2012年度第75回全国大会の席上で長谷川亘 統括理事長が認定証を受け取った。同資料館からは5機種目の認定となった。
〈東北大学 川内キャンパス〉
京都から世界に羽ばたくエンジニアやクリエイターを生み出すことを目的にした「京都まゆまろ杯第1回スマホアプリコンテスト」(株式会社オプト主催,京都府など後援,京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学など協力)の最終審査で,KCGネットワーク学科2回生の前納一希さんが考案した外国人向けのトイレ情報共有アプリ「京都ゐれ」が優秀アプリ賞に選ばれた。前納さんは,「スマートフォンアプリ選手権」でも入賞経験があり,それに続く快挙。「京都ゐれ」(きょう・といれ)は,アプリを起動すると現在地周辺にあるトイレの位置が表示され,その所在地のほか,和式か洋式か,混み具合,清潔かどうか,などの情報が示される。翻訳機能もあり,外国人観光客の使い勝手を意識した工夫が織り込まれている。さらに,起動すると京都府の広報監(マスコットキャラクター)「まゆまろ」が登場してトイレの水を流すというアニメーションも施した。同コンテストには350を超える応募があり,この日の最終審査に残った5作品の制作者がそれぞれ10分間のプレゼンテーションでアイデアを披露した。5作品のうち,個人参加は前納さんのみだった。
〈京都府庁〉
Microsoft 社が主催する学生対象の技術コンテスト「Imagine Cup 201 3 日本大会」の競技部門で,KCGのチーム「Project N」が最優秀賞に選ばれた。2013年3月にゲーム学科を卒業した米山哲平さんとChester Lee Chin Zhen(リー・チェスター)さんのチームで,米山さんが在学中に開発したゲームエンジン「Knowall Library 5.0」を発表。2D・3D両方のゲームを制作できる汎用性や,長年の開発実績に基づいた技術力,完成度が高く評価された。2013年7月にロシア・サンクトペテルブルグで開催されるImagine Cup 世界大会に出場することも決まった。
〈日本マイクロソフト株式会社 品川本社〉
KCGとKCGIは一般社団法人京都府情報産業協会から委託を受け,同協会の会員企業を中心とする新入社員向け研修を実施した。内容は,社会人としてのマナー等の基礎研修(10日間)と,プログラミング実習・データベース実習などITの専門技術研修(40日間)。厚生労働省が支援する「実践型人材育成システム」に基づく雇用型訓練の一環として行われた。
〈京都駅前校〉
専門学校生を対象とした「HTML5 スマートアプリ&クリエイティブ コンテスト」(主催:Smart Device Consortium,【専門学校と経営】事務局,共催:株式会社ワイエスシー,株式会社ワイエスシーインターナショナル,後援:KDDI株式会社,株式会社KDDI研究所)のプログラミング部門で,KCG情報科学科3回生の土井俊宏さんと若木将希さんが優秀賞を受賞した。
このコンテストは「HTML5」の特徴であるマルチデバイス,マルチOSを活かしたアプリ,アイデア,デザインを競い合うもので,「プログラミング部門」と「アイデア・デザイン部門」の2部門がある。出品した「Blabit」というアプリは,Facebook と連動することにより,ユーザに有用なイベント情報だけを効率的に表示するというもの。イベント情報が多すぎて,欲しい情報を見つけるのが難しい大都市で特に役立つ点と,操作性の良いユーザインターフェイスが評価されて受賞に至った。
〈KDDI本社〉
KCGI初代学長の萩原宏先生(2014年1月8日逝去)が京都大学在籍中に開発を手掛けた計算機「KT-Pilot」と「京都大学QA-1」が,一般社団法人情報処理学会の2013年度「情報処理技術遺産」に認定された。「KT-Pilot」は,萩原先生と株式会社東芝が共同開発しKCG京都駅前校の「KCG資料館」に保存・展示されている「TOSBAC-3400」(情報処理技術遺産 第一号認定)の原型。1961年に萩原先生と東芝が共同で開発・製造し,日本で初めての本格的なマイクロプログラム方式を採用した。論理回路にはシリコンのメサ型トランジスタによる高速度基本回路を用い,並列非同期式高速演算方式を採用。記憶装置にはわが国初の薄膜記憶装置を実装した。1962年8月にミュンヘンで開催されたIFIP(情報処理国際連合)で発表,世界最高速のコンピュータとして高く評価された。現在は東芝未来科学館(川崎市幸区)で保存・展示されている。
「京都大学QA-1」はグラフィクスの高速処理を一つの目的として,1974年から1977年にかけて,萩原先生のほか,京都大学工学部の富田眞治,小柳滋,柴山潔の各氏を中心に,多くの学生の協力を得て開発された。グラフィクス専用計算機ではなく,より汎用性を持たせた機器で,異なる4つのALU演算,4つのメモリアクセス,1つの順序制御を同時に指定できる方式を採用しているのが特徴。国立科学博物館(茨城県つくば市)に保存されている。
KCG資料館で保存・展示している「情報処理技術遺産」認定機器は,「TOSBAC-3400」のほか,「OKITAC-4300Cシステム」(2008年度 第一号認定),「NEAC-2206」(2010年度認定),「NEAC システム100」(2011年度認定),シャープ 「MZ-80K」(2012年度認定)の5機種がある。
今回の2機種の認定は,萩原先生がコンピュータ開発や電子回路,情報理論,通信方式研究における世界的権威で,日本のコンピュータ界のパイオニアであることを,あらためて証明した。
〈東京電機大学 東京千住キャンパス〉
全世界に多くのファンを持つ音声合成ソフトウェア「初音ミク」の〝今〞を発信するイベント・初音ミク「マジカルミライ2014」in OSAKA(主催:東京メトロポリタンテレビジョン株式会社,クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)が開催され,KCGグループ(KCG・KCGI)が協賛・出展した。KCGグループのブースでは,エンジニアリング学系の学生・教員による力作「初音ミク 踊るロボット」の展示・デモンストレーションをはじめ,アート・デザイン学系やデジタルゲーム学系の学生による「初音ミク」を題材にした作品などを展示した。ブースには来場者による大きな人の輪ができ,KCGグループの最先端技術を存分に披露した。
関西では初めての開催となった今回のイベントでは,多様なクリエイターたちが創作した楽曲を「初音ミク」が歌うコンサートが昼夜2回実施されたほか,多くの企業・団体などが〝初音ミクの創造文化〞をテーマにブースを展開した。
「初音ミク」は2007年8月にクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が企画開発し誕生。クリエイターたちによるインターネット上への楽曲投稿を機に,一躍人気となった。現在では世界各国でグッズが販売されているほか,3DCG技術を駆使したコンサートが開催され,多くのファンを魅了している。同社の伊藤博之社長は,KCGIの教授として,「IT企業実践論」などの講義を担当している。
〈インテックス大阪〉
高度IT人材の育成や,ITの研究・開発に先導的な役割を果たしたとして,KCGIの中村真規教授・札幌サテライト長(株式会社デジック社長,一般社団法人北海道情報システム産業協会会長)が,平成26(2014)年度情報化促進貢献個人等表彰の経済産業大臣賞に輝いた。
中村教授は,社団法人北海道ソフトウェア協会や北海道ソフトウェア事業協同組合の設立に参画して地域情報産業の発展の先導役を果たしたほか,「サッポロバレー」の礎となった「札幌テクノパーク」造成にも関与し,札幌が情報処理産業の集積地として確固たる地位を築くことに貢献した。また,従業員が健康で安心して働ける環境を構築するために「北海道コンピュータ関連産業健康保険組合」を設立し,現在に至るまで理事長を務めている。さらに,一般社団法人全国地域情報産業団体連合会(ANIA)の会長を7年間務め,全国の都道府県情報産業関連団体のトップとして地方・中小の情報化促進を牽引。経産省をはじめとする省庁や外郭団体の委員を数多く歴任し,地方・中小のみならずわが国の情報化促進に尽力した。
2012年4月には,KCGI札幌サテライトをデジック社内に開設するのと同時に教授・サテライト長に就任。IT業界での長年の経験を活かして,地方・中小企業のIT企業経営をテーマとする「IT企業実践論」などの講義を担当し,後進の育成に力を注いでいる。
〈東京・千代田区 丸ビルホール〉