Accumu Vol.3

Accumu Vol.3

タイ国を対象として実施した海外コンピュータ教育支援活動の報告や英国文部大臣の来校など,国際的なKCGを紹介。KCG情報科学研究所監修による特集「情報の科学」では,次世代コンピュータの最先端技術を紹介する。

  ほほえみのくに 湯下 秀樹 タイの人が見せてくれた微笑の内気さは友愛と寛容に満ち溢れていた。それはつくりものではない自然な微笑みであった。しかし単なる素朴な感情の発露とも違う。それは自然に見えるまでに洗練された文化的な表現である。
  バンコック・パソコン講習会 KCGの海外コンピュータ教育支援活動の一環としてタイの首都バンコックで開催されたパソコン講習会の模様。KCGの教職員と学生スタッフがプログラミングに関する講義を行った。
  タイ・ベネフィット・ガラ KCGの海外コンピュータ教育支援事業の費用は,国際交流資金とチャリティコンサートの収益で賄われている。ソリストに浦川宜也氏,指揮者に小林研一郎氏を迎え,渋谷区・東急文化村オーチャードホールで催されたチャリティコンサートの模様。
  タイ教員短期留学 KCGの海外コンピュータ教育支援活動の一環として,タイより研修生22名が来日し,KCGで高度な情報処理技術を学んだ。
  タイ視察旅行から 長谷川 靖子 「コンピュータを媒体として,教える者と教えられる者の間に,思いやりと感謝,信頼と責任という友情の最も本質的な部分が確実に根づいた」。KCGからの寄贈パソコンがタイ全土で稼動した。その様子を長谷川学院長自らが視察。
  年間3600人のコンピュータ技術者を養成するために ブーリョン・ケオサード KCGの協力により,タイ国全土でコンピュータ利用技術育成プロジェクトを開催することが可能となった。このプロジェクト実施の経緯と今後の課題についてタイ文部省のプロジェクトコーディネーターが報告。
  対ガーナ情報教育振興事業について 野口英世博士の例にみるごとく,日本と深いつながりのあるガーナ共和国にKCGの海外コンピュータ教育支援事業の実施が決定した。
  対ポーランド情報教育振興事業について コペルニクスを生んだポーランドと,宇宙物理学者のコンピュータ研究会を原点とするKCGは長年にわたる友好関係にある。ポーランド文部省の要請で,KCGの海外コンピュータ教育支援事業の実施が決定。
  スーパーコンピューティングとシミュレーション天文学 松元 亮治 シミュレーション天文学は,コンピュータの中にミニ宇宙を作り出して,そこで様々な実験を行う。この新しい研究分野について,天体プラズマの電磁流体数値シミュレーションの研究成果等を例にあげて解説。
  こんにちは星の赤ちゃん 吉田 重臣 星は暗黒星雲のガスが収縮して誕生する。「分子双極流」の発見など,誕生間もない星を観察した結果,わかりつつあることをわかりやすく解説。
  宇宙の大規模構造 太田 耕司 最近の観測によって明らかにされてきた宇宙における銀河の分布。銀河の存在しないボイドが存在し,宇宙は意外にも非一様であった。
  パソコンのなかの惑星たち 作花 一志 KCG教員の筆者が製作した天文教材ソフト「ASTRON」に基づき,パソコンの画面上で遠い過去から,遥かな未来までの天体イベントを机上で再現する。
  知的財産権とコンピュータプログラム 仙元 隆一郎 コンピュータプログラムに関する権利は法律上どのように保護されるのか。知的財産権の権威である筆者が分かりやすく解説。
  初代学院長の思い出 よき時代の想い出 山本 美智子 KCG長谷川繁雄初代学院長が,奈良県吉野郡川上村第三中学校で教員を務めていた若き日の思い出と生徒たちとの心の交流。
  初代学院長の思い出 真の優しさ 弘中 實 私が生涯忘れぬ先生のお言葉は「情報は真実を伝えなさい」。株式会社リクルートの社員として,KCG長谷川繁雄初代学院長に接した筆者が語る思い出。
  情報の科学  
  情報科学をめぐって 鳴海 元 ウィーナーの「サイバネティックス」,シャノンの「通信の理論」,ブリルアンの「科学と情報理論」に始まった情報科学をめぐり,情報に関する現象を科学の対象として,どのように定義するのかなど,科学の基礎を考える。
  コンピュータ・ハードウェア技術の発展 萩原 宏,柴山 潔 第五世代コンピュータやパタン認識に適したニューロコンピュータなど,コンピュータの概念は大きく変わりつつある。その技術の発展を概観する。
  情報化社会としなやかなシステム 椹木 義一 変化の激しいハイテク時代を生きる上で,問題をとりまく関連する諸要因を包括的に捉えるマクロスコープとしてのシステムズアプローチが必要である。筆者らが提唱する「しなやかなシステムズアプローチ」を解説する。
  マルチメディア通信について 長谷川 利治 マルチメディア通信技術の概説を通じて,通信工学が単純に物理的な信号送信のみを扱っていた時代が終わり,通信を情報の伝達と考えなければならない現在について述べる。
  情報系システムに求められる知的支援を考える 片山 敏廣 知的支援システムとは何か,AIとエキスパートシステムの違いは何かを述べ,さらに参考例として知的支援プラットフォーム「TIPPLER」によるデモシステムを紹介。
  連想記憶モデルによる情報の最適識別 H・H・カギワダ,上野 季夫 神経回路網モデルを用いて,情報工学の諸問題を取り扱うことは,従来の解法に比して,有力な手段を提示し始めている。連想記憶モデルを使った研究の成果。
  ニューロ理論の理解のために〈脳の働き〉 西丸 四方 精神機能のもとになっているニューロンの構造と,脳を50ほどの区域にわけ,各区域にどんな機能が宿っているのかを示す脳地図について。
  ニューロ(神経回路網)理論による自動制御 杉坂 政典 脳の情報処理システムを手本とし,「あいまいさ」を持った情報の処理に適しているニューロ。筆者とニューロとの出会いと,研究にどのように使っているのかを紹介。
  ファジィ理論と応用 浅居 喜代治 カリフォルニア大学のデザー教授によって提唱されたファジィ理論。それがどのように応用されているか,洗濯機や医療診断支援システムなどの例を挙げて解説する。
  三次元グラフィックスによる山岳景観の表示システム 川田 剛之 リモートセンシング画像の処理と解析を専門とする筆者が,人工衛星が撮影した山岳地帯の画像を解析するために研究に用いた3次元グラフィックスの技術について。
  考古学における土器文様とコンピュータ 上野 佳也 考古学におけるコンピュータ利用は,データベースの問題を越えて,コンピュータを土器の文様の変遷と伝播の過程の解析に活用するなど,さらに発展する可能性がある。
  放射線医用画像の解析 藤村 貞夫 放射線を利用した医用画像解析のうち,CT技術について概略を示し,その一つの方法である符号化開口放射形CTについて解説する。
  イギリス文部大臣K・クラーク氏 京都コンピュータ学院を視察 京都コンピュータ学院を英国文部省教育視察団が訪問。英国文部大臣K・クラーク氏や英国駐日大使など一行は,大型計算機センターなどを見学。
  イギリスにおけるコンピュータと情報技術の高等教育 テリー・メリア 急激に成長するイギリスのコンピュータサービス産業を支える情報人材を育成するために,様々な教育課程がイギリスの高等教育機関には用意されている。その制度を紹介。
  現代詩 草光 零太郎 「台風一過」「頂上の六月」
  地球温暖化の諸問題 山元 龍三郎 二酸化炭素などの増加による地球温暖化の実態について,過去の地上気温の観測データの解析結果と,気候の数値シミュレーションの結果の対比に基づき検証し,解決すべき課題について述べる。
  オーストラリア大陸縦断 ソーラーカーレースに参加して 土屋 敏明 太陽電池電源式の電気自動車の可能性を追求して高性能ソーラーカーを開発し,オーストラリアで行われている大陸縦断レースに参加した早稲田大学学生の記録。
  世界の英語ハイク 星野 恒彦 ハイクとは,外国人が自らの言語で書く,俳句に類似した短詩である。いま英語ハイクは,英語圏全域で行われ,アメリカ俳句協会ほか,いくつもの団体・グループが活動をしている。国際ハイク大会の模様なども交え,英語ハイクの現在を語る。
  常磐津を語る 常磐津 都喜蔵 四条通の喧騒が嘘のような昔ながらの家並が続く祇園の稽古場で,浄瑠璃の一流派,常盤津節の伝統を今に伝える常磐津都喜蔵氏にお話を伺う。
  京都の自然 海岸の松の緑を守るために幻のきのこ,松露を育てる 伊藤 武 幻のきのこ,松露の栽培育成を進めることで松林の減少を抑える。海辺の自然を守るために情熱的な挑戦を続ける筆者によるレポート。
  学院を廻るアルティザンたち-(3) Robert B.Kushner ロバート・クッシュナー  
  卒業生紹介 天草の禅寺コンピュータ和尚 九州天草の曹洞宗隣峰寺の副住職を務める葛龍貫喜昭さんは,KCG白河校の卒業生。コンピュータを使って檀家のデータを整理するなど,KCGで学んだ技術を活かして活躍。
  アキューム3号(1991年発行)掲載広告