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Accumu Vol.22-23

ジャパンエキスポに参加して

京都情報大学院大学 教授 渡邉 昭義

2014年7月2日から6日までフランスのパリ郊外で開催されたジャパンエキスポ・パリと,8月22日から24日までアメリカ・カリフォルニア州のサンマテオで開催されたジャパンエキスポUSAに参加してきました。その内容と現地で見聞したことを報告します。

ジャパンエキスポについて

ジャパンエキスポはフランスで年1回開催されるマンガ,アニメを中心とした総合的な日本をテーマとする博覧会です。コスプレイヤーがたくさん参加する大変大きなイベントとしてテレビなどで取り上げられているのでご存知の方も多いかと思います。

フランスでは1970年代に『UFOロボグレンダイザー』や『キャンディ・キャンディ』などの日本のアニメがテレビで放映され始めました。当時のフランスの子供向けの番組では,悲しみや憎しみなどの感情が あらわに表現されることはなかったので,それらの作品は大変な衝撃を与え,たくさんの子供たちが夢中になりました。その世代のJean-Francois DufourとSandrine Dufour,Thomas Sirdeyが,日本のマンガやアニメーションを普及させようと1980,90年代にファンジンを作ったり,コンベンションを開いたりしていました。そのような活動を出発点にして,日本の文化全体を普及させようというコンセプトの元に,2000年に初めて開催されたのがジャパンエキスポです。ジャパンエキスポの参加者は,初回は3200人でしたが,毎年増え続け,2014年の第15回では約24万人になりました。

また,2009年よりマルセイユでジャパンエキスポ・シュード(sud,南の意味),2011年にはベルギーでジャパンエキスポ・ベルギーおよびオルレアンでジャパンエキスポ・サントル(centre,中央の意味),そして2013年よりアメリカでジャパンエキスポUSAと開催地を増やしています。

(参考)JapanExpo ウェブサイトより The history of Japan Expo
http://www.japan-expo-paris.com/en/menu_info/historique_475.htm

ジャパンエキスポ・パリ

第15回を迎えたジャパンエキスポ・パリは,会期を昨年までの4日間から5日間にして,2014年7月2日から6日まで開催されました。

京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学から,大西健吾,田中恵子,渡邉昭義,そしてフランス人インターン生のマクサンス・ルメルシェが参加しました。

会場はパリ・ノール・ヴィルパント(Paris-Nord Villepinte)展示会会場でした。我々は宿泊ホテルから近いパリ北駅よりRERに乗って会場に通っていました。RERはパリ中心部から郊外を結ぶ鉄道で,ジャパンエキスポの多くの参加者がこの電車に乗って会場まで移動していました。最寄駅から会場は直結ですので大変便利でした。ジャパンエキスポは展示会会場のホール4,5,6を使用していました(会場面積は125,000m²)。

私たちは京都市のブース Villedu Kyotoの一部で,京都国際マンガ・アニメフェア(略称:京まふ)と,京都を舞台にした『有頂天家族』や『いなり,こんこん,恋いろは。』のプロモーション,そして京都コンピュータ学院と京都情報大学院大学を紹介し進学を勧める活動をしました。京都市のブースは「京小町踊り子隊」のステージと着物販売および京都市観光についての情報提供が行われていました。さすがに京都市の知名度は抜群で,たくさんの来場者があり,「いつの季節にどんなところに行ったらよいか」などの質問がありました。

さて,ジャパンエキスポ・パリにいらっしゃる方々は英語を話せる人が多いのですが,スタッフの田中恵子さんによると,英語が流暢だと反応が冷たくなることに気づき,わざと下手な英語で話しかけると反応が良くなったということでした。また,田中さんと京都市ブースの現地人員の方に簡単なフランス語を教えてもらってカタカナでメモをしてそれを観ながらフランス語で話しかけると話を聞いてもらえるということでした。よく,フランス人は英語が話せても英語で話せないふりをするなどと聞くのですが,まさにその体験をしたわけです。その後の込み入った話はフランス人インターン生のマクサンス・ルメルシェ君にがんばってもらいました。おかげさまで,とてもたくさんの人に京まふのこと,京都コンピュータ学院と京都情報大学院大学のことを知ってもらえました。

名誉招待ゲストとして,マンガ部門で『きまぐれオレンジ☆ロード』のまつもと泉氏,アニメ部門でスタジオジブリの高坂希太郎氏,ビデオゲーム部門でカプコンのキャラクターデザイナーのイケノ(池野大悟)氏と任天堂の宮本茂氏,音楽部門ではBerryz工房 × ℃-uteとYOSHIKI氏が招かれていました。

他にもゲストが多彩で,アニメ関係では,タツノコプロの九里一平氏,アニメ監督,メカニックデザイナーの荒牧伸志氏,アニメーターの伊藤嘉之氏が招かれていました。九里一平氏のような重鎮を招いているところはジャパンエキスポのアニメに関するスタンスが窺えて興味深いと思いました。

ジャパンエキスポ15周年記念ということで過去のジャパンエキスポの歩みを展示するコーナーがありました。毎回のジャパンエキスポのキャラクターの展示,ゲストに書いてもらった色紙の展示などずらりと並んで歴史を感じさせました。日本の文化に関するさまざまなパネル展示もしてあったのですが,TUNING JAPONAIS(日本式チューニング)とチューニングカーが紹介されていて,それもまた日本の文化なのかなとちょっと驚きました。

日本でもニュースやビデオで見ることができますが,手の込んだ服を着こなしたコスプレイヤーがたくさん会場内を練り歩いているのを目の当たりにするとなんだか不思議な世界に迷い込んだ気がしました。

キャプテンハーロックとクイーン・エメラルダスを白人の手足の長い男女がコスプレしているのは実によく似合っていて格好良いと思いますが,そうでなくてもとにかくみんな楽しんでいるのが伝わってきました。

私は特にゴスロリの人たちを見て,もともとフランスのロココの時代にあこがれて日本で作られたものが里帰りしているとはなんとも不思議な日本とフランスの関係があるものだと思いました。

フランスと日本との関係については人形についてもありますので簡単に紹介しましょう。

スーパードルフィーなどの関節が動く人形は,もともと市松人形が幕末期に万博でフランスに紹介されて,子供に大人気となり,関節が動くという特性を残して市松人形を換骨奪胎してフランスで作られたのがジュモーやブリュなどビスクの球体関節人形です。フランス製の球体関節人形は日本に渡り,今もアンティークドールとして人気を集めているのですが,それをもとにマンガ・アニメのフィギュアのテイストを持ったレジンキャストの球体関節人形であるスーパードルフィーが生まれたのです。それがまたフランスに渡るわけですから何か特別な縁のようなものを感じました。

さて,フランスで人気があるアニメ・マンガといえば,『ONE PIECE』や『BLEACH』などです。『ONE PIECE』は海賊船をイメージした大掛かりなブースを作り,たくさんの人を集めていました。20周年となる『美少女戦士セーラームーン』は新作(Crystal)の配信でもりあがっていました。古くはキャプテンハーロックからエヴァンゲリオンなども人気ですし,もちろん,最新の『進撃の巨人』,『ソードアート・オンライン』なども大人気です。スクール水着でうろうろしている女の子を見てどっきりさせられましたが,今から考えると『艦これ』の潜水艦だったのかもしれません。

私は基本的にブースの業務ばかりで時々会場を回る程度でしたが,とにかく日本大好きの熱気に圧倒されました。アニメ・マンガのグッズを買い漁り,コスプレする人たちを見ていると,とにかく楽しもうという姿勢が素晴らしいです。

余談ですが,ホテル近くの書店で,AnimeLandという雑誌を買ってみました。特集は『進撃の巨人』で,中身をパラパラ見てみると日本とそれほどタイムラグは感じませんでした。ただ,日本のアニメの数が余りに多いのでたぶんすべての最新アニメはカバーできていないと思われます。その本を買ったのはfnacというフランスで有名な本のチェーン店でしたが,日本に関する棚やアニメの棚がありました。fnacのウェブページを見ると結構たくさん日本のアニメやマンガを扱っていましたのでジャパンエキスポの時だけでもないようです。なお,そのページではジャパニメーションという言葉を使っていました(現在ではほとんど使われない言葉と思っていたのですが…)。

ジャパンエキスポUSA

第2回を迎えたジャパンエキスポUSAは,2014年8月22日から24日までアメリカ・カリフォルニア州サンマテオで開催されました。

京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学から,長谷川晶,大西健吾,小林由依,渡邉昭義が参加しました。

会場は,サンフランシスコ郊外のサンマテオ市のサンマテオ・コンベンションセンターでした。サンマテオ市は人口10万人ほどの都市で,シリコンバレーの北端部に位置してIT企業が多く,YouTubeはここで創業したそうです。

私は2013年にカリフォルニア州サンタクララで開催された第1回ジャパンエキスポUSAにも参加しましたが,ジャパンエキスポという名前とでんぱ組.incなどのゲストのわりには来場者数が少ないのに大変がっかりさせられました(最終発表は5534人)。開催時期が学校の新学期にあたり,中高生があまり集められなかったというようなことを聞きましたが,今回もほぼ同じ日程です。今回はサンタクララよりサンフランシスコに近いサンマテオに会場を移してどのように変わるかと心配しながら準備を進めていました。

さて,会場に着いた私たちは,発表されたばかりのきfょこたん(京都コンピュータ学院の公式マスコットキャラクター)のCMを上映し,きょこたんの設定資料などでブースを装飾し,京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学の紹介をし進学を勧める活動をしました。また,京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)の公式キャラクター 都萌ともえちゃんのバナーを掲示し,フライヤーを配布するなどして京まふを知ってもらうよう努めました。小林由依さんには初音ミクあるいはドラミちゃんのコスプレをしてがんばってもらいました。

昨年の状況を知る私が見て,ジャパンエキスポUSAの来客は同程度, あるいは減っているのではと思われました。

名誉招待ゲストはパリに引き続きのマンガ部門のまつもと泉氏,ビデオゲーム部門のイケノ(池野大悟)氏の他,アニメ部門でアニメーター,キャラクターデザイナーの金山明博氏,音楽部門で作曲家の山岡晃氏が招かれていました。金山明博氏は『あしたのジョー』などで知られる重鎮です。ゲストは私が知らないだけかもしれませんが,あまり知名度の高くなさそうな方で絶対数も少なかったです。

私はアメリカのコスプレイヤーのAmie Lynnさんにサインをもらいましたが,各地のアニメコンベンションで活躍しているようでした。

会場はいくつかの建物と野外音楽堂に分かれており,来場者はちらりと展示会場を覗いた後はピクニック気分で野外でたむろしている人が多かったように思われます。

また,アニメ・マンガ以外の参加,サンマテオ剣道道場など近隣の日本のスポーツ・文化・伝統芸能の集まりが多かったようにも思われます。

イベント終了後もジャパンエキスポUSAのウェブページでは,近隣で行われるラーメン博覧会などの紹介をしていました。

アメリカでは各地でアニメコンベンションが開かれており,ジャパンエキスポUSAはその一つに位置づけられるとは思いますが,むしろ日本文化紹介イベントとして定着していくのではないでしょうか。

最終日の8月24日午前3時20分ごろにサンフランシスコ近郊で地震が発生しました。インターネットで地震情報を調べていたら,DYFI(Do You Feel It?)という一般の人からのレポートを集めるシステムがあることを知りました。日本人の私からすると大した地震ではなかったのですが25年ぶりの大地震ということでしたので,最終日に外出を控えた方が多いらしく集客数に影響したかもしれません。

おわりに

最近では,日本のアニメで見たたこ焼きを食べてみたいとか,舞台となった土地に行ってみたいとかそんな理由で日本を訪れる人が増えているといいます。そのような動きの中で世界中から京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学に学びに来てくれることを願っています。

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渡辺 昭義
Akiyoshi Watanabe
  • 京都情報大学院大学教授。
  • 北海道大学工学士,京都大学大学院修士課程修了(応用システム科学専攻),工学修士。
  • 元ナカミチ株式会社勤務。

上記の肩書・経歴等はアキューム22-23号発刊当時のものです。