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Accumu Vol.9

海外コンピュータ教育支援活動 ブルネイ

ブルネイ

1996年3月25日,ブルネイ教育省のアブドル・ガニ・オマール氏が日本の高等情報教育機関等視察の目的で来校された。同氏は,国際協力事業団(JICA)の招聘で来日し,2週間余りの滞日期間中に,豊橋技術科学大学・京都教育大学などとともに,京都コンピュータ学院の見学をされた。

来校されたアブドル・ガニ・オマール氏
来校されたアブドル・ガニ・オマール氏

同氏は,ブルネイ教育省の職業技術教育局 東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)職業技術教育センター(VOCTECH)所長を務めておられる。ブルネイは,世界で三番目に大きな島であるボルネオ島の北西部に位置する国であり,主産業は石油と天然ガスである。人口は267,000人(92年)で,国民の多くはイスラム教徒である。麻薬等への規制も厳しく,ブルネイ政府発行のパンフレットには,麻薬などのドラッグの同国への持ち込みは,重大な犯罪であり,それに対する罪は死であるとの注意が書かれているほどである。ブルネイが独立したのは1984年。極めて新しい国であるが,資源に恵まれたこの国では,人々は豊かな生活を送っている。

SEAMEO VOCTECH
SEAMEO VOCTECH

その後,帰国されたアブドル・ガニ・オマール氏から来校時のお礼と,学院長のブルネイ訪問を促す手紙が届いた。同氏は,来日中に視察された教育機関の中でも,京都コンピュータ学院に強い印象を持たれたようで手紙の文面には,ご自身が所長を務めるSEAMEO VOCTECHと学院との交流を深めたいとの意向が述べられていた。SEAMEOとは,ブルネイ,マレーシア,インドネシア,ベトナムなど東南アジア地域の9カ国が参加し,科学・文化・教育の諸問題について討議を行う機構であり,その下部組織として,参加国の職業技術の分野の問題解決を図る目的で設置されたのが,VOCTECHである。早々に学院長のブルネイ訪問も実現し,1996年12月10日にSEAMEO VOCTECHと学院との間で,技術交流に関する覚え書きが締結された。

ブルネイ
ブルネイ

この覚え書きに基づき,1997年3月に学院の教員2名(伊澤,野村)が,ブルネイに渡り,SEAMEO VOCTECH主催の「職業技術教育経営者のための経営情報システム」と題されたワークショップに講師として参加した。ワークショップにおける学院教員の講演内容は,「LANの構築について」「イントラネットについて」であり,ブルネイ政府や教育機関などから参加した50名ほどの聴講者からは,盛んな質問が出された。特に厳格なイスラム教徒の多いこの国では,またインターネット上の害悪情報の流入をいかに防ぐかが大きな問題となっており,この点に関する技術的な質問が相次いだ。当初我々が考えていた以上に,好評のうちに講演を終了することができた。今後,ブルネイからの研修生を受け入れるなど,ブルネイと学院の交流は更に発展していくことになる。

講演をする学院教員
講演をする学院教員
ワークショップ会場
ワークショップ会場