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Accumu Vol.4

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

学院長式辞

長谷川 靖子

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

本学院は日本最初の民間のコンピュータ教育機関として,28年前に創立されました。当時はまだコンピュータ幕開け時代でしたが,来るべき情報化社会の到来を予知し,その繁栄の基盤は,大量の技術者の養成にあると考え,全国に先駆けて情報教育をスタートさせたのでした。

私達は最初の出発地を文京地区洛北に選びましたが,土地は借地,校舎はバラック小屋,しかしコンピュータだけは当時を代表する高性能機を設置いたしました。本物の教育はカリキュラム,講師陣,機械設備にあり,建築物にこだわりをもたないことを,むしろ誇りとして財力のすべてを機械設備の充実に投じました。勿論経済的にゆとりがあれば校舎の美観を考えることもできたかもしれませんが,何しろ,日本ハイテクノロジーの急激な進歩に合わせて,毎年カリキュラムの検討改善,機械のレベルアップを実施せねばならず,精神力と財力の大半はそこに費やされ,それだからこそ,優秀な大量の技術者を世に送り出せたわけですが,学生の増加と共に市内5ヵ所に次々と校舎が造られても,建築物を第二義的に考えることには変わりなく28年間を過ごしてきました。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

しかし日本の経済力はハイテクノロジーの進歩に裏付けられて,巨大なものになり,日本も今や「衣食足りて―」の次の時代に入っていっております。

私達の学院も今回,ここに株式会社錢高組の協力を得て高層インテリジェントビルを持つことができ,念願の,少なくとも三校が統合されるようになりました。この校舎は,これまでの,校舎は勉強する所,実習して技術を磨く所でありさえすればよいという次元を超えて,建築物そのものによる無言の教育効果を狙っております。

学院内設計担当者は,技術の文化としての建築を超えて学校精神の具現としての建築に意を注ぎました。一見,学生の校舎としては贅沢に見える空間の広がり,高さも,また外観の美観もすべて学生の精神高揚による教育効果を考えてのことです。

優れた建築物は,直接的に人間の感性に働きかけ,思考の深さ,広がりを促し,品性の向上をもたらすものと考えます。

このホールは音響工学の権威前川純一先生を中心として,ドイツから技師を呼び,ロボット実験を重ねて造られました。学生の感性教育としての音楽鑑賞の場です。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

一つ一つの椅子はおわかりでしょうが机となり,下に差し込みが二つセットされております。コードを差し込めばパソコン使用ができますし,もう一つの端子は電話線でネットワークの構築,同時通訳の構築を予定してセットされました。

それからもう一つ重要な点は,玄関ロビーとホールのラウンジにタイより直輸入した大理石が用いられていることです。パソコン教育交流に関係したタイの方々の協力によるものであり,この大理石はタイとの国際親善の象徴です。

このように,京都コンピュータ学院精神の具現としての建築,京都コンピュータ学院文化の象徴と言える校舎を持つことができるようになったことは,三校統合の意味を超えた私達一同の喜びであります。この文化としての建築物の中で,建築そのものが学生に影響を与えるであろう教育効果を期待しつつ,インテリジェントビルとしての機能を縦横に駆使して,学校教育を大きく展開向上させていくことを教職員一同念じている次第です。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー
京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

本日の式典は,もう一つ,海外留学生を迎えての研修オープニングセレモニーという内容をもっております。

京都コンピュータ学院は,高度成長を遂げた日本に対し,世界から期待されている国際貢献を,情報処理教育という立場においてとらえ,発展途上国及び東欧圏に対し,学院所有の約2000台の8ビットパソコンを寄贈し,これを利用した国際情報教育振興事業をボランティアとして行うことを企画し,1990年6月より,実施段階に入りました。

このプロジェクトをまだご存知ない方のために申しあげますと,『まず相手国文部省に教育用として数百台のパソコンを寄贈する。文部省は,このパソコンを管理し,パソコン設置校を選定し,学生,一般人を対象にパソコン教育を実行する。この教育を担当する現地教員の養成と指導は,学院が行う。技術指導は現地講習会の開催と,学院への留学招聘によりなされる』といった形のものです。

一昨年中に,最初の実行国タイで第一次プロジェクトはすべて終了し,現在,寄贈パソコン350台はタイ全土に亘る教育機関22ヵ所で稼働し,学院が指導した現地教員により,年間3500人の受講者への教育が実施されています。

タイ文部省は,タイ全土に亘る情報教育スタートのレールが学院の協力により敷かれたことに対し,多大の謝辞を送ってこられました。日本を含めて先進国の発展途上国に対する技術援助は,これまで経済援助という形で行われてきたのが現状です。その結果,さまざまな弊害を生んでいるのも事実です。タイ文部省の本学院への謝辞の中に「このような国際協力はこれまで皆無であった」という言葉がみられますが,恐らくは,どの先進国も政府レベルでは実施できなかった企画であったのでしょう。私達が行った『情報教育のプレゼント』こそ,相手国を自力で富ませていく源泉となるものであり,まさに彼らが求めていたものであったと私達は確信しています。

タイに対して,今年16ビットパソコン寄贈による第二次支援プロジェクトの実施を予定しています。

周知の如く,コンピュータはハード・ソフトが一体となって初めて有効性を発揮する故活用能力をもった数多くの技術者なしには,コンピュータの社会全体への普及,浸透はあり得ません。従って近代情報化社会の実現と繁栄に情報教育が決定的な役割を演じております。このコンセプトにおいて私達は28年前,全国に先駆けて,情報教育をスタートさせたのでした。そのパイオニアの体験を発展途上国に伝えたい,国際情報教育振興事業に取り組む私達の情熱の原点はまさにそこにあります。

タイでの成功に私達は自信をもち,1991年夏,ガーナ共和国と,ポーランド共和国に各200台ずつのパソコンを,同じく教育用として寄贈し,現地講習会を,8月ガーナにおいて,また11月ポーランドにおいて行いました。わずか2週間の講習会ですのに,国ごとに歴史的背景,社会的事情が異なり,一つの国の体験は次の国に適用できず,さまざまな異文化摩擦に遭遇しながら,我がスタッフ達は講習会の成功へ必死の努力をせねばなりませんでした。講習会に取り組む現地の人々の熱意は大変なものでした。それだけに,その過程で生まれた国際親善と実った友情のすばらしさは筆舌に尽くし難いものがありました。スタッフ一同は,見事に国際人に変貌して帰国し,それは学生への教育の現場に直ちに反映されていきました。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

さて,本日ここに,ガーナ共和国とポーランド共和国より留学生一行が第二次講習会のため来日されております。本日より,この新校舎において,約2週間に亘る研修に入ります。(この来日費用は日本万国博覧会記念協会よりの国際交流補助金により,主として賄われます。)

またタイでは,すでに第一次プロジェクトは一昨年終了していますが,本学院より寄贈した現地パソコン設置校の研修生の中から特に成績優秀者を選んで招待し,同じく研修に参加されます。

来日研修者は,すべて寄贈パソコンの現地教育の担当者であり,私どもとすでに現地講習会で友情を深めた関係者であるため,寄贈パソコンの対象国と本学院との国際友情は,確実なものとして大きな実りへ向かっていくことでしょう。

東欧,アフリカ,東南アジアの異文化圏3ヵ国より約40名が一堂に会し,本学院生と一緒になって学び,今後も協力し合っていこうという,今回のこの場は,パソコンを媒体としたボーダーレスの国際親善の一つの象徴の場であろうかと存じます。

特に代表者として,各国政府高官が一行と共に視察のため来日されていますのは,各国とも,新しい形の国際協力として,本学院の海外コンピュータ教育支援活動を非常に高く評価されているからだと考えます。私達は各国の熱い期待に誠意をもって応える所存であります。

1992年は,ケニア,ジンバブエ,インドネシア,中国が次のプロジェクト実行国として年内に予定されております。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

ところで,今日の日本の繁栄はハイテクノロジーの開発と活用にあることは自明の理ですが,このハイテクノロジーを生み出し発展させてきた日本人の能力は,決して西洋文明のものまね能力でなく,すでに千年来京都の地で育まれてきた日本伝統文化の延長上にあるということを世界の知識人達が認識し始めています。私達は,各国から学院へ留学する民間レベルの人々に,京都に息づく日本文化をより深く紹介していきたいと思っております。

新しい日本の情報文化を,その底流をなす日本伝統文化と共に世界に紹介したいと願う時,その発信の地は伝統の息づく古都,学問創造の都,京都こそふさわしいでしょう。私達の学院は,この京都から『ハードウェア付き情報教育のプレゼント』という形で世界に向かって文化を発信し,「文化の伝播」という大役を担って,地球サイズのボーダーレス情報文化の創造を目指して,この海外コンピュータ教育支援活動を,引き続き,より広やかに展開していく所存です。今後とも皆様方のご支援をよろしくお願い申しあげます。

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来賓式辞

国立教育会館館長

西崎 清久氏

西崎清久氏

ご紹介いただきました西崎でございます。まず何よりも皆様と共に,新校舎竣工をお祝い申しあげたいと思います。今日は,ポーランド,ガーナ,そしてタイ国から多数の来賓がお見えでございます。京都は古い伝統と文化の都でございます。おそらく,来賓の皆様方も大いに古都を楽しんでお帰りになると思いますが,また一面京都は,ホテルとお寺との論争でも有名でございます。私はこの新校舎が建てられる時に,このような立派な校舎ができて,また論争の的になるのではないかと心配しておったわけですが,幸いそのようなこともなく,調和と格式のある校舎ができたということで,その面でも大変お慶びを申しあげたい次第でございます。

実は,私は3年前まで30年程文部省へ勤務しておりました。京都コンピュータ学院が文部省の研究指定校として,一昨年立派な報告書を出しておられるということで,京都コンピュータ学院とのご縁ができたわけでございます。今,専修学校は全体で3200校ございます。そして専修学校の生徒数は83万人おられるわけであります。今,短期大学は50万人になっております。文部省としては,おそらく今後,専修学校教育を充実するために専修学校の実情を十分研究したいということで,研究指定校の委嘱を京都コンピュータ学院にしたと思うわけでありますが,3200校から選ばれて研究指定校になった。そして立派な報告書が出されたということは,いかに京都コンピュータ学院が,立派な業績を上げておられるかということの証左とご理解いただいていいわけであります。私もその後のご縁で,大変,京都コンピュータ学院の内容の充実について目を見張る思いをしておるわけでありますが,その,目を見張っております理由が,三つあるわけでございます。

第一点は,インターナショナルな点でございます。先ほど申しあげましたように,ポーランド,ガーナ,そしてタイ国から多数の来賓,研修生かお見えになっておられますが,京都コンピュータ学院の寄付により,現地において,それぞれコンピュータの教育が普及していくという,一つの民間外交的な懸け橋をしておられる。これは,専修学校に例を見ないことで,政府が本来少しやるべきところを京都コンピュータ学院が先鞭をつけてやっておられるという点に敬意を表したいと思います。それから実質的な中身から申しますと,ボストンに,学院の分校があるようですが,夏,本学院の研修生が1ヵ月半,ボストンの方へいらして,語学にも磨きをかけてコンピュータの勉強をしてお帰りになる。そういうふうな語学教育も大変充実しておられるようでありますが,これらの点において京都コンピュータ学院は,他の三千数百校の専修学校に比べて際立った特色を持っていらっしゃるということが一つあろうかと思います。

それから第二点。私が大変感銘を受けておりますのは一般教養,つまり情操とか人間性という点について,非常に本学院が力を入れておられるという点でございます。今日は,浦川先生の立派な演奏も聞かせていただけるわけですが,芸術の分野においても相当力を入れておられる。申しあげるまでもなく,情報化社会は機械だけの問題ではないと思うわけです。情報はかたや,やはり感性の問題,付加価値の問題,素材価値より付加価値の問題だと思います。絹織物がミラノファッションになるとやや高くなるということでありまして,美感創遊の時代は,コンピュータに合わせて,かたや感性の問題であるということになりますと,どうしてもやはり,人間性,情操の問題が機械文明の情報の問題に加えてなければ新しい社会を担う人材にはならないと思います。そういう点で,京都コンピュータ学院が一般教養とか芸術の面に力を入れておられるという点に,大変感銘を深くするものでございます。

それから,最後に第三点で申しあげますと,いろいろのお話を伺い,そしていろいろなパンフレットその他を見ておりますと,本学院の学生の皆さんの目や活動が生き生きとしている。意欲的に非常に元気一杯やっておられるという点に,大変感銘を受けるわけであります。蛇足で申しあげますと,今わが国で一番教育成果を上げている施設は何かということですが,皆様,何だとお思いになりますでしょうか。一説によりますと,自動車教習所が,一番教育成果が上がっている教育施設だと言われておるわけであります。なぜ自動車教習所でいちばん教育成果が上がるかという理由が三つございます。一つは,なまじ人間形成にとらわれないで技術,技能に徹しているという点が一つ。第二は,自動車教習所にくる人は意欲を持っている。運転技術を習得したいという意欲です。それに欠けるところがあれば,自らの人身事故につながるわけですから,意欲的にやっている。それから第三点は,教育課程とプロセスがしっかりしているということであります。ある課程を経なければ次に進めないわけで,エキストラの授業を受けなければ免許は取れない,ということになります。現在の大学がレジャーランドとして,一,二年生がいろいろと批判をされるわけであります。学生,果たして一,二年生は勉学意欲ありや,という説が一般的でございます。それに比べて,本学院の学生諸君の意欲というのは,私が伺い,拝見する限りにおいては抜群であると思うわけです。インターナショナルで,そして一般教養なり情操なりに非常に力を入れておられる。しかも,学生諸君が意欲的にやろうとしておられる。そのような点において,私は本学院の今後の前途は輝かしいものがあるであろう。そして,本校舎が新しくできたという時点において,さらなる発展ということを願いたいわけでございます。

最後に一つ,付け加えさせていただきますと,私は,古き都京都に最新のテクノロジーを担う京都コンピュータ学院がある,その取り合わせの妙というところを深く感ずる次第でございます。昔,京都と奈良の仏像をパリに持って行って,パリでフランス政府の主催で展覧会が行われたことがあります。日本から仏像を運んでいかれたお寺のお坊さんが,一千年前,五百年前の古き仏像を文化財としてフランス人に見せることが,日仏親善の大きなある絆であり,役割であるということを力説されたそうです。そしたら,当時のアンドレ・マルロー文化大臣はその展覧会の開会の演説において,本展覧会をフランス政府が開催することにしたのは,現代の我々の問題を解決するために開催したのである。古きものの中に新しきものを見つける。フランス人にとって,現代の我々の問題を解決するために開催したんだ,と言われたそうであります。そういう意味におきまして,古き都京都において,革新の京都コンピュータ学院が現代を担う若者を育てるためにますます発展されることを切にお祈りいたしまして,お祝いの言葉とさせていただきます。おめでとうございました。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

ガーナ共和国工業科学技術省次官

クワベナ・アジェイ氏 (Dr. Kwabena Adjei)

クワベナ・アジェイ氏

ご来賓の皆様,それからご来席の皆様,今日はこのような栄えある席に私ども,また私どもの研修生が出席させていただくことができ,うれしく存じます。コンピュータの事情ですとか,私どもの国ガーナにおけるコンピュータ教育の事情については,先ほどの記者会見で述べさせていただきましたので,ここで繰り返すつもりはございませんが,ただ私どもといたしましては,もっともっとこの科学技術の進展をガーナ国内で見たいと思っております。

実は独立以前から,科学技術の重要性について,私どもは深く認識しておりましたが,1966年から81年までの間の政治的に不安定な状況において,この科学技術の発展は足踏み状態でありました。なんとかしなければならないと,1983年に新しい動きが始まりましたが,科学技術を発展させるには自国だけではできないことが多ございました。日本などでは非常にコンピュータ技術が進んでおり,なんと大きなギャップがわが国との間にあることかと気づき,そのギャップを埋めよう,あるいは,埋めるだけではなくなんとか追いつこうと努力を重ねてまいりました。そして,そのためにも日本との協力がぜひ必要であると感じていました。

そこに幸運にもわが国とこの京都コンピュータ学院という,日本のコンピュータ教育の中でも最も最先端をいく,最も進んだ学校との教育関係を結べたということは,わが国にとって,この上もない幸運でした。

一言最後に申し加えたいことがございますが,私どもはこれを文化の交流と考えています。交流であるからには,私どもが受けるだけでなく,ガーナの方からもなんとか京都コンピュータ学院に対しての貢献をさせていただきたいと思っています。貴校の国際交流のために私どもができることがございましたら,どうぞご遠慮なくお申しつけくださいますように。今日はどうもありがとうございました。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

タイ王国文部省ノンフォーマル教育局局長

スラット・シルパ・アナン氏 (Dr. Surat Silpa-Anan)

スラット・シルパ・アナン氏

長谷川学院長,皆様,私をタイ国民,タイ政府文部省の代表としてこの京都駅前校新校舎竣工記念式典にお招きいただき,心から感謝いたします。この建物が京都コンピュータ学院のシンボルとなり,貴学院がますます飛躍することは誠に慶ばしい限りです。

私は長谷川学院長並びに学院関係者皆様方の功績を大変うらやましく思います。学院長は京都で一番立派な女性だといえます。なぜなら,人は教育を受ける機会が与えられることに喜びを見出しますが,2年前から,タイの人に,コンピュータ教育を受ける機会を与えてくれました。コンピュータという「物」だけでなく,それを使った勉強方法まで教えてくれました。私は何よりすばらしい贈物だと思っています。タイの人達,学生や先生方達も皆,一番大切なものだと思っています。

京都コンピュータ学院は,タイだけでなく様々な国ヘコンピュータを贈り,現地講習会を開催しておりますが,それらは,京都コンピュータ学院という一学校を超えて,日本という国が行ってくれたすばらしいことだと思っています。

最後に,新校舎完成を心からお祝い申しあげ,ご挨拶に代えさせていただきます。

京都駅前校舎竣工記念式典・海外留学生研修オープニングセレモニー

ポーランド共和国文部省次官

タデウシュ・ディーム氏 (Mr.Tadeusz Diem)

タデウシュ・ディーム氏

皆様,我々はまず,本日京都コンピュータ学院の新校舎竣工記念式典に参加させていただきましたことにお礼を申しあげたいと思います。

私の考えでは,長谷川学院長の偉大なビジョンは,今度新しくできたすばらしい校舎によってだけではなく,私達が今日から始めます大きな国際プロジェクトによっても,表現されるものと思っています。このプロジェクトのきっかけをつくり,人間関係を築いてこられた貴学院に深く感謝いたします。このような国際プロジェクトでは,人間と人間の相互理解,国民と国民の文化交流が,将来に大変大事な意義を持ってくるものと思います。現代では,人間関係と情報技術が最も重要であります。ポーランドの学校の教師達は,もうすでに日本に研修を受けに来ています。彼らが日本の皆様と肌を接し,日本の先端技術をよく理解し,日本の情報教育を経験して,自分の知識を深めるよう,強く期待しています。ポーランドと日本の間には,ご存知のように,たった一つの国しかありません。大国とはいえ,一つしかないということは,私達の今度の交流,協力にとってはいい条件であるのではないかと思っています。

ポーランドは学問的には進んだ国でありまして,特に数学教育の方法論が発達しております。私達はまた,日本と同じく,情報教育を国民に普及させる努力をしています。

もう一つ,両国に共通する分野としては,音楽教育があります。この分野でも私達は,よく似た教育モデルを実施していると思います。ご存知のように,多数の日本の若い音楽家が,ポーランドで行われているピアノやヴァイオリンのコンクールなどに出場しています。

ポーランドから来ました教師達は,ここで主として日本語を通して情報教育を勉強しています。もちろん通訳はいますが,このように外国語で直接習うことは,より効果的だと思っています。このような試みは,今後も続けるべきでしょう。そして,京都コンピュータ学院との将来の協力につきましては,私達がここに新しい提案書を用意しました。長谷川学院長と,今後の交流に関するこの提案書に調印させていただきたいと思っています。交流は相互的でなければなりません。私達がお互いに何をできるかということをよく考えなければなりません。この交流は,なるべく政府機関を離れて,民間レベルで行うことが重要であると思います。直接大学と大学,学校と学校,教師と教師,あるいは学生と学生が直接交流することを望んでいます。このような交流の将来のモデルをつくりたいと考えています。

1993年に京都コンピュータ学院は30周年を迎えられると伺っています。この創立記念につきましては,私達はポーランドの方からささやかながら参加させていただきたいと思います。本日竣工式を迎えられたすばらしい校舎に,その建築物の一部となるような彫刻を贈呈したいと思います。ワルシャワ美術大学にモダンな彫刻を制作してもらおうと考えています。もし長谷川学院長のご賛同をいただきますれば,このような形で30周年記念に参加させていただきたいと思います。

最後に,長谷川学院長をはじめとして,京都コンピュータ学院の先生方に,改めてお祝いの言葉を申しあげます。どうもおめでとうございます。

財団法人日本万国博覧会記念協会理事長

池口 金太郎氏

池口金太郎氏

ただ今ご紹介いただきました,日本万国博覧会記念協会の理事長をいたしております,池口でございます。私どもの協会は,先ほど来お話がございました,海外からのコンピュータ留学研修の事業につきまして,京都コンピュータ学院に資金面で若干のご協力をさせていただいておるという関係があるわけでございまして,ひとことご祝辞を申しあげたいと思う次第でございます。

まず第一に,京都コンピュータ学院のこのインテリジェントな,そしてすばらしいデザインを持った新校舎が完成いたしまして,本日ここに竣工式を迎えることになりましたことに対し,心からお慶び申しあげるわけでございます。わが国の代表的なコンピュータ専門学校であります京都コンピュータ学院が,この新しい校舎並びに設備をフルに活用されまして,ますますのご発展を遂げられることを心からお祈りする次第でございます。

それから次に,本日から始まりますタイ,ガーナ,ポーランド3ヵ国からの研修留学につきまして,ご祝辞をひとこと申しあげたいと思います。

京都コンピュータ学院は,かねてより海外の諸国に対しましてコンピュータを寄贈され,また,そこへ教師も派遣されまして,諸外国におけるコンピュータの普及,あるいは研修に大変な努力をされているのでありますが,この度はその研修の受講者のうち,成績の優秀な方々を,この新装になりました京都駅前校に迎えられまして,そこで,より高度な研修を行われるということになったわけでございます。私どもはこの事業に対しまして,若干の資金協力をさせていただいておるという関係でございます。こういう事業はあまり例を見ない事業でございまして,そういう点から大変なご苦労もあったと思うわけでございます。

私どもの協会は,ご承知のことと存じますが,1970年の日本万国博覧会を記念して,特別法により作られました,政府関係法人でございます。その事業は,一つはご存知の万博記念公園という総合文化公園を所有,経営しているわけでありますが,もう一つは,海外の文化交流事業に対しまして資金的にご援助申しあげるという仕事をしているわけでございます。京都コンピュータ学院のご事業は誠にユニークな,かつ,単なる金とか物とかを送り届けるのではなく,それを教え,そしてまた人材を育成するという点において,極めて有効なものでございます。本日ここに来られた方々も,研修終了後は,また各国でご活躍になることと聞いております。本当に,日本の海外教育といたしましては適切なものでございます。私どもの協会の事業といたしまして,これはなんとかご援助申しあげていきたいということで,今までからも些少ながら協力させていただいているわけでございます。今後とも,京都コンピュータ学院がこの新しい校舎のもと,ますますご発展されるとともに,また,海外における指導,あるいは研修活動に尽くされますようお祈りいたしまして,簡単でございますがご祝辞とさせてただきたいと思います。

京都大学名誉教授・日本情報処理学会会長・京都コンピュータ学院講師

萩原 宏氏

萩原宏氏

京都コンピュータ学院京都駅前校の新校舎竣工,誠におめでたく存じます。かねてこの京都駅前校の改築というお話を聞いておりまして,絵などを見せていただいておりましたが,こんなにすばらしい建物とは思いませんでした。また,中に入ってみてこんなにすごいホールがあるとも思いませんでした。本当にすばらしい建物ができたということで,心からお祝い申しあげたいと思っています。

この学院が芽生えたのは,1963年と伺っておりますが,今年で29年目を迎えるということになると思います。この間に学院の果たした業績というのは誠に大きなものがあると思います。なにぶんにも3万人近い卒業生を出して,この方々が日本の社会で活躍しておられる。特に,情報処理技術者が不足しているということが叫ばれて久しいわけですが,この間にこの学院が果たした役割というのは非常に大きなものがあったと思っております。実は先日,私どもの大学に,関西の企業の方が来年度の卒業生の求人の話でお見えになりまして,いろいろお話をしておったわけですが,その時にはっきり名前を上げて,「京都コンピュータ学院の卒業生は即戦力として役に立つ」と,高く評価しておられたわけであります。それに対して,大学の卒業生というのはすぐには役に立たないけれど,そのうちにいろんなことをやってくれるから,ぜひ我々の大学の卒業生もほしいというようなことをおっしやったわけです。つまり,この専修学校の卒業生が即戦力として役立つというのは,先ほど西崎さんのお話にもありましたが,はっきり目標を持って勉強しているということが一番大きいと思います。そういうわけで,この学院に対する社会の期待というのは非常に大きいものがあると思っています。

それから,いわゆる国際化の時代ということをいわれておりますが,それに即応するように,先にボストン校を開校されまして,海外での教育を始められた。これも多分,専修学校としてはあまり例の無い試みではないかと思っています。さらに本日,代表の方々がお見えになっておられます,タイ,ガーナ,ポーランド諸国のコンピュータ教育に積極的に協力しておられるということは,誠に驚くべきことであると存じます。その成果が上がることを心から願っている次第でございます。この新装になったこの校舎を見まして,ご来賓の皆様方はじめ,各方面の方々の温かいご支援とご協力のもとに,教職員,その他関係者の方々の一層のご尽力によりまして,学院が今後ますます発展して,社会に大きく貢献することをお祈りいたしまして,簡単でございますがお祝いの言葉に代えさせていただきたいと存じます。