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Accumu 最新号・Vol.24

応用情報学への招待

  舞台芸術IT
  コンテンツビジネス
  次世代産業

ITの進化進展により,われわれの生活は大きく変化した。今日の豊かな社会を歴史的な変遷に照らして見てみると,「農業の時代」から「工業の時代」へ,そして「情報・知識の時代」の到来へとつながる。「農業の時代」では,土地をもとに作物を生産・販売することを社会の基本としてきた。18世紀の産業革命により「工業の時代」が幕を開けると,資本設備をもとにモノを製造・流通させることが社会の基本となった。そして昨今の「情報・知識の時代」では,情報システムをもとに知的財産や様々な知恵,ノウハウを創造して共有し,それを活用する社会が基本となりつつある。

「情報・知識の時代」が訪れはしたものの,豊かな生活を支える農業や漁業,水産業など第一次産業はより注目を浴びるようになり,レジャーも含めた海洋,それに医療や福祉などはITを活用した新たな活路を見出し始めている。ただ,それぞれの現場では技術者が絶対的に不足し,人材難は深刻だ。

また,最近脚光を浴びているのは舞台芸術におけるIT活用の拡大。演劇・オペラ・ダンスパフォーマンスに至るまで,ITを使った斬新な演出が試みられている。日本の産業の大きな柱のひとつとなった観光業界でもそうだ。ウェブ技術を生かしたビジネスをうまく展開すれば,多くの観光客を呼び込むことが可能になっている。これらの世界において技術者の確保が急がれているのは言うまでもない。

このような現状を受けKCGグループでは,産業界の情報化をリードする人材育成に向け「応用情報学」関連の学科,コースを開設し,人材育成を本格化させた。京都コンピュータ学院(KCG)には,ビジネス学系(B学系)に3年課程の応用情報学科を2016年4月に新設。医療情報コース,海洋ITコース,農業ITコースを設置した。また2017年4月には,同じくB学系に医療事務学科(2年課程)の新設も決めている。一方,京都情報大学院大学(KCGI)には次世代産業コースを開設。医療や農業,海洋,観光などの分野のITについて深く学ぶ。グループ内の希望する全学科・コースの学生を対象に「舞台芸術IT」に関する講義を準備し関連業界で活躍する人材の育成を開始した。

これらKCGグループが展開する「応用情報学」に読者のみなさまをご招待する。

舞台芸術IT

舞台芸術ITに関するカリキュラムを準備し,関連業界で活躍する人材を育成する。授業を担当するのは,エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)」メインボーカリストのニッツァ・メラスKCGI教授,それに米国・ハリウッドで活躍中のアーティスト キリル・コシックKCGI准教授も技術的な指導に加わる。世界を舞台に活躍しているスタッフから第一線の技術を学ぶ。

コンテンツビジネス

世界が認める日本発の文化,アニメ・マンガをウェブビジネスに活かすべく,既存のコンテンツ・クリエイティブ産業のビジネスモデルの創出を探る。「初音ミク」の生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディア社代表取締役 伊藤博之氏,ガイナックス創立者のひとりであり,KCG内にGAINAX京都を設立した武田康廣氏を教授に迎え,それぞれのビジネスが成功に至るまでのさまざまな経験,将来のコンテンツ・クリエイティブ産業のありかたなどについて講義している。

次世代産業

医療IT

医療分野では,医療事務システム,オーダリングシステム,電子カルテシステム,画像診断などにおいてIT化が急速に進んでいる。また,個々の患者の治療のみに利用されていた治療データや医療機器データを集約しビッグデータ化して分析することによって感染 症予防や最適な治療計画を策定するなどITの応用も拡大している。高度なIT能力を医療分野に応用できる人材が求められている。

観光IT

日本の観光産業は海外からの来訪者の増加により右肩上がり。本学は,その日本における代表的な観光地・京都に立地するメリットを活かして,留学生を対象に,ITを応用した新しい観光サービスや観光ビジネスモデルについて学ぶプログラムを構成している。多言語・マルチメディアでの観光情報の提供,観光客の行動履歴の情報化と分析・予測など,現実的な課題解決に取り組んでいく。

農業IT

農業は,人間の生活に欠かせない日本を支える産業であるにもかかわらず,後継者不足による高齢化や,TPP(環太平洋経済協定)の参加に伴う輸入自由化などにより,決して明るい状況とはいえない。しかし昨今は「野菜工場」,農作業の効率化や情報・自動収集によるノウハウの伝承,農家の営農を支援するクラウドサービスなどITが農業の発展を支える。次代の農業IT化を先導する人材を育成する。

海洋IT

海洋・水産の発展に向け,ITを活用した魚群探知機開発のほか,効率的で持続的な漁業実現のため,人工衛星を活用したトレーサビリティ機能を持つ海洋の資源と環境に関するデータ収集システム導入などが模索されている。さらには,船舶の省エネ,安全運行,温室効果ガス削減,海洋汚染防止,海洋自然エネルギー利用などに向けた船舶のIT化も迫られている。これら海洋ITをリードする人材を育成する。


古野電気株式会社提供